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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

カレッジTシャツを着るつもりじゃなかった

カレッジTシャツというものを避けて生きてきた。

古着屋などを流していると、なかなかいい雰囲気のカレッジTを見かけ、気持ちが揺らぐこともあったが、みずからを厳しく律し、この歳まで一度も着ることなく過ごしてきたのだ。

カレッジTシャツを忌避してきた理由は、突然現れた快活な外国人に「Oh! youもHarvardか。me tooね。ノミニイキマショウ!」などと言われるのが怖いからだ。

それなら、本当の出身校のカレッジTを着ればいいのかもしれないが、「WASEDA」とプリントされたTシャツを着て街中を歩けるほど野暮ではない。
そこは、アイビー&プレッピーを育み根付かせてきたアメリカと、それを模倣してきた日本のファッション文化の根本的格差だ。

突如プレゼントされたカレッジTシャツに袖を通したら

ところが、つい先日のこと。
そんな僕の内なる思いを知るよしもない妻が、「これ買ったんだけど、自分に似合わないんだよね。あげる」と言って1枚のビッグTシャツを差し出してきた。胸に「UCLA」とプリントされた、チャンピオンの典型的なカレッジTシャツである。
「ムムム」と思ったが、素直に着てみることにした。比較的、妻の言うことにはおとなしく従うタイプなのである。

そしたら、悪くないんだよねー。
冷静に考えてみたら、このTシャツを着て東京を歩いていたとしても、目の前に陽気なカリフォルニア美女が突然現れて、「Wao! おじさんもUCLA? wonderful! オチャシマショウ!」と誘われる可能性なんて、約0%だ。

もちろん、もし万が一そういうことになったらなったで、しっかり対応しなければなるまいが。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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