そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。
2019.5.6
カレッジTシャツを着るつもりじゃなかった
カレッジTシャツというものを避けて生きてきた。
古着屋などを流していると、なかなかいい雰囲気のカレッジTを見かけ、気持ちが揺らぐこともあったが、みずからを厳しく律し、この歳まで一度も着ることなく過ごしてきたのだ。
カレッジTシャツを忌避してきた理由は、突然現れた快活な外国人に「Oh! youもHarvardか。me tooね。ノミニイキマショウ!」などと言われるのが怖いからだ。
それなら、本当の出身校のカレッジTを着ればいいのかもしれないが、「WASEDA」とプリントされたTシャツを着て街中を歩けるほど野暮ではない。
そこは、アイビー&プレッピーを育み根付かせてきたアメリカと、それを模倣してきた日本のファッション文化の根本的格差だ。
突如プレゼントされたカレッジTシャツに袖を通したら
ところが、つい先日のこと。
そんな僕の内なる思いを知るよしもない妻が、「これ買ったんだけど、自分に似合わないんだよね。あげる」と言って1枚のビッグTシャツを差し出してきた。胸に「UCLA」とプリントされた、チャンピオンの典型的なカレッジTシャツである。
「ムムム」と思ったが、素直に着てみることにした。比較的、妻の言うことにはおとなしく従うタイプなのである。
そしたら、悪くないんだよねー。
冷静に考えてみたら、このTシャツを着て東京を歩いていたとしても、目の前に陽気なカリフォルニア美女が突然現れて、「Wao! おじさんもUCLA? wonderful! オチャシマショウ!」と誘われる可能性なんて、約0%だ。
もちろん、もし万が一そういうことになったらなったで、しっかり対応しなければなるまいが。
