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インパクトが強すぎる店主が待ち構える旨すぎる焼肉(その1)

年間200食もの牛肉を食べるという、名実ともに肉バカ、小池克臣が日々蓄えてきた肉への愛、知識、体験……そのすべてを注ぎ込む究極の肉コラムがここに。肉好きはもちろん、そうでなくても知っておくべき肉のあれこれが満載!

オシャレなレストランで料理も美味しいのに、接客がイマイチで行かなくなった経験はないだろうか!?

どんな飲食店でも接客の良し悪しによって、お店の満足度は変わる。
これは焼肉に関しても一緒。

ただし、焼肉が他のジャンルの料理と違うのは、丁寧で親切な接客だけが評価されるわけではないということだ。

焼肉屋には焼肉屋の接客の世界がある

例えば、創業40年や50年といった、かなり年季の入った焼肉店であれば、無愛想な店主のツンデレ接客に何故か興奮を覚え、目の前の焼肉は2割増しで美味しく感じるものだ。
理由を言葉で説明するのは難しいが、焼肉にはこういった懐の深い楽しみ方がある。
ただし、これが新しいオシャレな焼肉店であれば、話は別だが。
オシャレな焼肉店では、やはりスマートな接客が心地良い。

今回は焼肉店の接客に焦点を当てて、今まで肉バカが出会った、インパクトが強すぎる店主による接客が楽しめる焼肉店を紹介したい。
しかも、ただ店主のインパクトが強いだけでなく、恐ろしく美味しい焼肉が食べられることを約束しよう。

芸人を超えるインパクトを放つ店主

四谷三丁目に夜な夜な芸能人やスポーツ選手が集まる焼肉店がある。
名前は”焼肉 名門”。

そして当代随一のエンターテイナーとして名高い店主の名前は中村真敏氏。
通称、ヤッキー中村。

焼肉業界はおろか飲食業界全体を見渡しても「笑い」という点に関して、ヤッキーの右に出る者はいない。
危なっかしくて活字にすることなど出来ない数々の伝説を伝え聞いているが、とにかく圧倒的なキャラクターで、ヤッキーが席についた瞬間からお客側に許されるのは、笑うことと食べることのみである。

とにかくその接客がスポットライトを浴びるヤッキーだが、実はそこにはとんでもない研究と努力、そしてこだわりが詰まっている。

焼肉に不可欠なニンニク一つ見ても、国産の最高級品を使っている。
目に見える箇所ばかりに一生懸命になるお店が多い中、一見目立たないところに心血を注いでこだわり抜いているのだ。

そして、牛肉の仕入れも素晴らしい。
特にタンやハラミを含めたホルモン類は恐ろしいほどピンの素材が集まっている。
しかも、そのピンの素材のざずかな最上部分だけを味あわせてくれるという贅沢。

一流の料理人のファンが多いのも頷ける。
また、永遠に止まらないヤッキーのしゃべりを注意深く聞いていると、ただおちゃらけているだけに見えて、実は裏で相当研究し尽くしているのが分かる。
しかし、そんなこだわりをヤッキーは一切しゃべらない。
ただひたすら歌を歌い、「よろちくびー」と笑顔で我々を出迎えてくれる。

これがヤッキーが誇る絶倫コース

さて、そんなヤッキーの全力が味わえる「絶倫コース」なるものが存在する。
今回はその全容を紹介したい。

まずは最初は韓国海苔。
この韓国海苔の下に敷いてあるペーパーに、その日のヤッキーからのメッセージが隠されている。

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小池克臣

こいけ・かつおみ●1976年、神奈川県横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程、加工、熟成まで踏み込んだ研究を続ける肉の求道者。著書に『No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 肉バカ。』がある。
公式ブログ「No Meat, No Life.」→ http://d.hatena.ne.jp/BMS12/

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