そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。
2020.3.31
ワーク系の定番アイテムだけど、ヒッコリーストライプにはご注意を
今シーズンはアメリカンなワークテイストの着こなしがキテいるが、インディゴ染めデニムと並び、オーセンティックな雰囲気を醸し出すヒッコリーストライプもまた要チェックの模様だ。
“ヒッコリー”というのはもともと、北米産のクルミ科落葉樹のこと。
織り柄がその木肌にある縞模様に似ていたので、そう名付けられたそうだ。
細幅の縞柄は櫛の目のようにも見えるので、コームストライプという別名もある。
デニム生地に白い糸で細い縦縞模様を施したこの生地が生まれたのは、100年ほど前のアメリカ。
当初は鉄道作業員用として考案され、1927年にLee社がヒッコリーストライプと名付けて大々的に販売すると、鉄道作業員にとどまらず、鉱山や工場の労働者にも広がった。
純ワークウェアだから、その模様には機能的な意味がある。
単色の生地と比べ、土やオイルなどの汚れが目立ちにくいのだ。
当時の過酷な現場で働く男たちの作業着は、汚れたからといってすぐ洗濯するものではなく、ボロボロになって捨てるまで着倒すのが当たり前。
だからなるべく汚れが目立ちにくい生地が好まれた。
その上、青と白のストライプは単色のインディゴ染めよりも見た目涼やか。
そうしたことから需要が伸び、今日まで定番柄として生き残っているというわけだ。

大人の男にはヒッコリーストライプのパンツは大NG。トップスもソフトなものを選ぶべし
今シーズンは積極的にワークアイテムを着たいと思っていて、ヒッコリーストライプも射程範囲に入れている僕だが、実はこれがなかなか難しいのです。
意外と目立つ柄なので、油断するとチグハグな雰囲気を醸し出してしまうのだ。
ヒッコリーストライプといえば、オーバーオールやカーゴパンツに合う素材のように思われるかもしれないけど、ヒッコリー柄のパンツは大人の男には大NG。
相当に悪目立ちするし、下手すると妙に可愛らしい雰囲気になりがち。
それに、コーディネートも難しい。
では、ワーク系トップスの代表アイテムであるカバーオールならいいかというと、これもまたなかなかの難物。
カバーオールはガチのワーク系なので、そこにガチなヒッコリーストライプを組み合わせるとガッチガチに……。
何を言ってるのか、わかりますよね?
僕が愛用するヒッコリーストライプのアイテムは、数年前に買ったgrnという日本のアウトドア系ブランドのパーカーブルゾン。
これはワーク系ではないので、ヒッコリーストライプ生地がソフトになじんでいると思うのだ。
ヒッコリーストライプは素敵だけど、悪目立ちしがちなので細心のご注意を! という話である。