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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ワーク系の定番アイテムだけど、ヒッコリーストライプにはご注意を

今シーズンはアメリカンなワークテイストの着こなしがキテいるが、インディゴ染めデニムと並び、オーセンティックな雰囲気を醸し出すヒッコリーストライプもまた要チェックの模様だ。

“ヒッコリー”というのはもともと、北米産のクルミ科落葉樹のこと。
織り柄がその木肌にある縞模様に似ていたので、そう名付けられたそうだ。
細幅の縞柄はくしの目のようにも見えるので、コームストライプという別名もある。

デニム生地に白い糸で細い縦縞模様を施したこの生地が生まれたのは、100年ほど前のアメリカ。
当初は鉄道作業員用として考案され、1927年にLee社がヒッコリーストライプと名付けて大々的に販売すると、鉄道作業員にとどまらず、鉱山や工場の労働者にも広がった。

純ワークウェアだから、その模様には機能的な意味がある。
単色の生地と比べ、土やオイルなどの汚れが目立ちにくいのだ。

当時の過酷な現場で働く男たちの作業着は、汚れたからといってすぐ洗濯するものではなく、ボロボロになって捨てるまで着倒すのが当たり前。
だからなるべく汚れが目立ちにくい生地が好まれた。

その上、青と白のストライプは単色のインディゴ染めよりも見た目涼やか。
そうしたことから需要が伸び、今日まで定番柄として生き残っているというわけだ。

大人の男にはヒッコリーストライプのパンツは大NG。トップスもソフトなものを選ぶべし

今シーズンは積極的にワークアイテムを着たいと思っていて、ヒッコリーストライプも射程範囲に入れている僕だが、実はこれがなかなか難しいのです。
意外と目立つ柄なので、油断するとチグハグな雰囲気を醸し出してしまうのだ。

ヒッコリーストライプといえば、オーバーオールやカーゴパンツに合う素材のように思われるかもしれないけど、ヒッコリー柄のパンツは大人の男には大NG。
相当に悪目立ちするし、下手すると妙に可愛らしい雰囲気になりがち。
それに、コーディネートも難しい。

では、ワーク系トップスの代表アイテムであるカバーオールならいいかというと、これもまたなかなかの難物。
カバーオールはガチのワーク系なので、そこにガチなヒッコリーストライプを組み合わせるとガッチガチに……。
何を言ってるのか、わかりますよね?

僕が愛用するヒッコリーストライプのアイテムは、数年前に買ったgrnという日本のアウトドア系ブランドのパーカーブルゾン。
これはワーク系ではないので、ヒッコリーストライプ生地がソフトになじんでいると思うのだ。

ヒッコリーストライプは素敵だけど、悪目立ちしがちなので細心のご注意を! という話である。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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