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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ネルシャツ着るならファストファッション、それも赤に限るという話

中途半端なこの季節に、重宝するのがネルシャツだ。
僕が持っているネルシャツは赤系ばかり。これにはやや深いわけがあるのだが、その話はのちほど。

ネルシャツといえば我々グリズリー世代がまず思い出すのは、ニルヴァーナのカート・コバーンだろう(でしょ?)。
カート・コバーンの登場とともに、1990年代以降、着古したネルシャツ=グランジ=かっこいいという認識が広まったと言い切りたいが、もともとカートのスタイルは、当時のアメリカ・西海岸のキッズの間ではごく当たり前のものだった。

日がな一日、仲間とスケートボードなんかをしながらだらだら遊んでいる、金のない若者のごく日常的な服装そのものだったのだ。
朝起きて着替えたまんまの格好でフラッとステージに上がるカート・コバーンがスターになったため、ただのネルシャツが急にカッコいいアイテムと認識されるようになったんだから、ファッションというのは面白い。

そこらへんで売っている適当な安いネルシャツをヨレヨレっとした感じで着るのがベスト

ネルシャツというのはもともと、アメリカで1930〜40年代頃から使われていたアイテム。
当初は林業や農業従事者用として、その機能性の高さからやがて土木や工場労働者にも使われるようになった純ワークウェアだ。

ストリートファッションとして取り入れられるようになったのは、1970年代頃から。
1980年代にはスケーターやパンクス、Bボーイの間でも着られるようになり、1990年代のグランジでさらに注目されるようになったというわけだ。

さて、僕のネルシャツがなんで赤ばかりなのかという話。
ネルシャツはインナーとアウターの中間のような存在で、ラフな重ね着スタイルに使いやすいからだ。
ボタンを全開にして着て、中のTシャツの柄を見せるようにしたり、肌寒い日は上にアウターを羽織り、中のネルシャツを見せるようにしたりするのがいい。
重ね着を前提としたアイテムだから、コーディネートの中で差し色として効いてくるヴィヴィッドな色合いがいいのだ。

そしてネルシャツでもうひとつのこだわりポイントを挙げるとすれば、ファストファッション系の安いものを適当に選ぶということ。
なぜなら、カート・コバーンを代表とするグランジの元ネタとなった当時の西海岸のキッズたちが着ていたネルシャツなんて、ウォルマートやKマートのようなそこらの辺のスーパーで売られていた安価なものだったから。
決して、名のあるおしゃれブランドの高いネルシャツではなかったのだ。

それをなるべくヨレヨレっとした感じで着るのが、本物っぽくていいんだよね〜。
変なこだわりのように聞こえるかもしれないけどけど、これ本当ですからね。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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