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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

格調高き英国製カメラバッグ、ビリンガムは大人の男にこそ似合う

本コラムで前にも書いたように、僕は基本的に手軽なレンズ一体式のコンパクトカメラが好きなのだが、15年ほど前の一時期、レンジファインダー型のカメラに凝ったことがあった。
レンズによって大きく変わる写真の世界に魅せられ、カメラマニアが言うところの“レンズ沼”(新しいレンズがどんどん欲しくなって、際限なく集めてしまう現象)にもハマりかけた。

それはそれで楽しい趣味だったが、問題はカメラ道具一式を運ぶ手段だった。
コンパクトカメラなら小さなケースに入れてカバンに放り込めばOKだが、レンジファインダーカメラだとそういうわけにはいかない。
カメラのボディ自体が大きいし、何本もの交換レンズを持たなければならない。それに、レンズを外すたびに入る微細なチリを払うため、ブロワーなどのメンテナンス用具も持ち歩く必要がある。

これはいよいよカメラバッグが要るなと思って探しはじめたが、一眼レフユーザーが使うような色気のない実用本位のバッグには触手が動かなかった。
そして買ったのが、ビリンガムというメーカーのバッグだったのだ。

一旦は眠らせたビリンガムのバッグが、最近とても気になるのだが……

ビリンガムは、イギリスのバーミンガムに拠点を置くカメラバッグメーカー。
1973年創業と歴史はそこまで古くないが、自分も写真撮影が趣味という創業者のマーティン・ビリンガムは、英国伝統のスタイルと先進的な機能性を併せ持つエレガントなカメラバッグをデザインして生産。
長年、ライカとのコラボ商品をリリースしたこともあって、カメラ好きの間では一目置かれるような存在となった。

カメラバッグの中では群を抜いておしゃれで格調高きビリンガムのバッグ。
でも僕は、勢いで買ったもののあまり使うことはなかった。

当時はまだ30代半ばだったので、実際に肩から下げてみると、ちょっとおじさんくさいかなと気になってしまったのだ。
それに何より、レンジファインダーカメラに飽きて、また元のコンパクトカメラに戻してしまったので、カメラバッグそのものが不要になったのである。

そんなわけで長年、我が家の奥の方に仕舞い込んでいたビリンガム。
ところが最近、なんだかとても気になるのだ。
ようやく、年齢がこのバッグの雰囲気に合ってきたということなのかもしれない。

最近はレンジファインダーどころかコンパクトカメラもあまり持ち歩かなくなってきているので、不要ということに変わりはないんだけど、出動させたくてウズウズしている。
どうしようかね? 

別に本来の用途にこだわる必要もないから、おにぎりと飲み物でも入れてお散歩バッグとして使うか、あるいはまたレンジファインダーカメラを買って、レンズ沼にでもハマるか……。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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