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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

カメラ・トーク〜あるフィルムカメラがどうしても手放せない理由

デジカメネイティブなおしゃれ女子の間で、いにしえのフィルムカメラが流行っているという話をチョイチョイ耳にするけど、あれは本当なのかしら?
年頃のおしゃれ女子とあまり接触する機会もないからよく分からない。

でも先日、不倫で話題になった唐田なにがしという女子が、相手の東出なにがしの写真をたびたびインスタにアップして匂わせていたという話題で引用されていた写真は、フィルムカメラで撮影したものだった。
やはり流行ってんだな。
こんなことで確認するなんて、本当におっさんだなあと思うけど。

自称ストリートおしゃれおじさんの僕は、今でもよくフィルムカメラを使っている。
もともとフィルムカメラをバリバリに使っていた世代だから、何も意外性はないのだが。

昔、何台も持っていたフィルムカメラはほぼ中古屋に売ってしまったが、手放さずに今でも現役で使っているのは、フジフイルムが2005年に発売した「ナチュラブラックF1.9」だ。

24mmという人間の肉眼に近い超広角レンズと、コンパクトカメラとしては異質のF1.9という明るいレンズを搭載したこのカメラ。
業界では既にデジカメが主役の座を奪いつつあった頃、フィルムメーカーの意地でつくったような意欲作だったので、発売当初から注目されていた機種ではあった。

でもハイエンドユーザー向けではなく、一般層狙いだったので3万円前後という手頃な価格がつけられていたので、僕もそんなに気負うことなく、へえ、面白いスペックのカメラだなと気軽に買ったことを覚えている。

高感度フィルムと明るいレンズが生み出す天国のように綺麗な写真

しかし実際に使ってみると、このカメラで撮った写真がものすごく良いのだ。

特に、最大の売りである明るいレンズを活かすため、同時発売されたISO1600という超高感度フィルムを使うと、天国のような温かみのある写真が撮れた。
僕がこのカメラをずっと手放さずにいたのは、この魅力ある写真のためだった。

ところが2018年にISO1600フィルムは生産中止に。現在、一般的に手に入れられるもっとも高感度のフィルムはISO800となっている。
たいへん残念なのだが、まあISO800フィルムでも、デジカメではどう加工しても出せない味のある写真は撮れるから、納得するしかない。

そしてこちらのカメラ、現在の中古市場での価格は10万円前後。新品の頃を大きく上回るプレミア価格で取り引きされている。
マニアの間にはこのカメラの魅力がよく浸透しているという証である。

まあひとつ、ナチュラブラックF1.9で撮影した作例をご覧ください。
いくら儲かりそうだとわかっていても、僕がこのカメラを決して手放さない理由が分かってもらえるかもしれない。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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