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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ワークマンで見つけた、英国音楽マニアの心をザワつかせる一品

やっぱりワークマンにはある。

昨今のワークマンがすごいという話はそこら辺に溢れかえっているから、皆さんやや食傷気味だと思います。

だから僕ももうワークマンのことなんて書くつもりはないのに、車で走っていて店を見かけるとつい寄ってしまう。
行けばなんやかやと面白いものが見つかるとわかっているからだ。
ちょっと中毒になっているのかもしれない。

今回も特に用はないのに吸い寄せられ、店内を漫然と眺めていたら、エキサイティングなものを見つけてしまった。
……といっても、大多数の人はスルーするアイテムなのかもしれない。
ブリーチデニム生地のアノラックである。

僕はアノラック好きだ。
1980年代にイギリス・スコットランドのグラスゴーから登場したインディーロックバンド群のファンだからである。
いかにもオタッキーでファッションに無頓着そうに見える彼らは、普段着のアノラックでメディアに登場することが多く、そのシーンは次第に“アノラック系”と呼ばれるようになった。

もう何十年も前の話だが、そんなこんなで僕はいまでもアノラックを見るとつい衝動買いしてしまう。

ダサい×ダサい=超かっこいい? まだらブリーチデニムアノラックを着こなせるのか

そして、ブリーチデニム。
人工的に全体を色落ちさせたハイブリーチデニムは、1980年代を彷彿とさせることもあってここのところ小流行していた。
だが僕がグッとくるのはそれではなく、濃色デニムに漂白剤をまだらにつけ、部分的に脱色させたヤツ。

ケミカルウォッシュと並び、デニム界ではキワモノとされるまだらブリーチは、妙に派手だし、田舎の中学生っぽい雰囲気が醸し出されるので敬遠する人が多い。
でも僕はこれがまた好きなのだ。

なぜなら1970年代後半から80年代、イギリス・ロンドンを中心に増殖したネオスキンヘッズが好んで着用していた素材だからだ。
彼らが演奏するハードコアパンクのサブジャンルであるOi!が好きな僕は、まだらブリーチのアイテムを見ると、つい体が反応してしまう。

アノラックとまだらブリーチを合わせたアイテムなんて、見逃すわけにはいかないでしょう。
しかもお値段たったの2980円。さっすがワークマンだ。

心配なのは、アノラックもまだらブリーチデニムも、一般的に見るとけっこう微妙………。
はっきり言うと、かなりダサいアイテムだということ。

そのダサさが逆にかっこいいと思っているのだが、わかってもらえるかな?
いや待てよ。“ダサい×ダサい”で、もしかしたら化学反応を起こし、普通に見てもかっこいいアイテムになっているのかもしれない。

と思いつつ眺めているんだけど……。
これ、どうやって着こなせばいいんだろうね?

なかなかの難題を背負い込んでしまったような気がしている。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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