そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。
2019.12.27
ワークマンで新しいスキーウェアを揃えちゃった。お値段は7400円!
バンドだー、映画だー、漫画だー、ファッションだーと右往左往する恥の多い人生を送ってきました。
そんなサブカル馬鹿の僕だが、1980年代後半から1990年代前半に学生時代を過ごした、いっぱしのバブル世代でもある。
大学のオールラウンドサークルに入るほどではなかったが、人並みに様々なシーズンスポーツにトライしてきた。
そうした世代だからなのか、いまも年に一度は家族でスキーをしに行く。
スノボ派の若者に占拠されていた時代を経て、若者の○△×離れの傾向が顕著な現在、スキー場は我々の手に返ってきている。
子供を連れたグリズリー世代が、いまやゲレンデの主役になっているのだ。
といっても、ウィンタースポーツ市場全体の衰退は著しい。
大渋滞の関越道をひた走り、激混みのリフトに1〜2時間待ちで乗り、人の隙間を縫うように滑っていたあの頃と比べると、スキー場はがら空きだ。
かつての栄華を知る地元関係者は、「あの輝きをもう一度」と思っているかもしれないが、我々一般スキーヤーにとっては、昔よりずっとゆとりのあるスキーは快適で、「どうかこれ以上は流行らないで」と願ってしまう。
専用のスキーウェアではないので機能性はそこそこだが、ファミリースキーヤーには十分
年に数日しか使わないわけだし、そもそもモテたい盛りの学生時代とは違うから、スキーウェアは長いこと同じものを着てきた。
いま使っているウェアは、17〜8年前に買ったもの。とても気に入っていたが、さすがに飽きたし、細部の傷みも目立ちはじめた。
今シーズンも年始に戸隠高原でスキーをする予定だ。
この際だから、久しぶりに新しいウェアを買おうと思い立った。
張り切って東京一のスキー用品街でもある神保町に繰り出そうかと思ったのだが、ハタと気づいてしまった。
もしかしてあそこに行けば、安くていいのがあるかもしれない。
そう。目下、株価爆上げ中、大絶好調のワークマンである。
果たして、店舗に入るなり目的のものはすぐに見つかった。
ワークマンのアウトドアウェアシリーズ、フィールドコアの酷寒期用ジャケットとパンツである。
ジャケットの商品名は「ユーロ・アルティメイト デュアル・フーディ」。パンツは「エアロ・ストレッチ クライミングパンツ」だ。
いずれも軽量のストレッチ素材で、防風・防寒性に優れ、撥水機能もバッチリ。
基本的にスキーウェアではないから、雪の侵入を防ぐスノーガードのような特殊な機能性はない。
でも僕は、飛んだり回ったりする横乗り系スキーヤーではないし、命知らずのバックカントリースキーヤーでもない。そこそこの滑走感と景色・雰囲気を楽しみつつ滑る、スタイルなんてどうでもあなたらしさが最高なファミリータイプのゲレンデスキーヤーだ。
それにめちゃくちゃうまいわけではないが、キャリアはまあまあ長いので、うっかり超上級者コースにでも迷いこまなければ、滅多に転ぶこともない。だからスキーウェアにそこまでの機能性は必要ないと思っていた。
このワークマンウェアくらいが、ちょうどいい塩梅なのだ。
それにこのジャケットは、袖やフードが着脱式。ということはスキーに限らず、ゴルフや釣りといった真冬のスポーツ時、何にでも使える汎用性の高さが素敵ではないか。
驚くべきは(本当は今さら驚かないが)そのお値段。
こんなに機能性やデザインが優れているのに、上下合わせてたったの7400円だった。
思い起こせばウン10年前のモテたい盛り、神保町のヴィクトリアでこれの10倍以上の価格のウェアを、気張って数年に一回は新調していたものだ。
隔世の感とはこのことである。
こんなに安く上等なスキーウェア(本当はスキーウェアじゃないけど)が揃うのだから、お金のない若者も、もっともっと気軽にスキーをやればいいのに。
いやダメダメ! スキー人口はいまが適正だから、これ以上の参入は勘弁してほしい。
スキーなんていう寒くてお金がかかって面倒くさいスポーツには、あまり目を向けないでほしいと思う。
