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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

今春流行するステンカラーコートをいち早く着てみようじゃないか

今春のメンズファッションのトレンドとして、ステンカラーコートが浮上している。
街では早い人がチラホラ着ているし、春物を並べはじめたショップの店頭で見かけることも多くなってきた。

ステンカラーコート、いいじゃないですか。
僕の中でステンカラーコートの理想的な着こなしは、スタイル・カウンシル時代のポール・ウェラーだ。古いね、どうも。

ということで、家の中にストックしているアイツを久しぶりに出動させてみましょう……。
と、おもむろに取り出し改めて見てみると、これってそもそもステンカラーコートか? という疑問が湧いてきた。

ステンカラーコートといえば、“薄いベージュのシンプルなコート”と勘違いしている人が多い。
つまりあの色こそが“ステン”であると。

一応、ファッション誌の編集者あがりの僕は、それが間違いだということくらいは知っている。
この場合の“カラー”とは、色ではなく襟のこと。

ステンカラーコートの最重要定義は、「一番上のボタンを外してもかけても着られる形状の襟(ステンカラー)」を持っていることだ。

しかし定義はそれだけではない。

ここから先はアンチョコを見て確認したのだが、
・ラグランスリーブであること
・前ボタンを隠すフライフロント(隠し前立て)であること
という要素を満たした膝丈程度の上衣こそが、ステンカラーコート。

ちなみに色はまったく関係なく、どんなカラーでも上記三要件さえ満たせばステンカラーコートである。

僕のコートを見ると、襟の形状こそ合致するが、ほかの二要件は満たしていない。
つまり、“三分の一ステンカラーコート”だ。

トレンドを追うのもいいが、標準的なサイズ感のものだと着る機会が多くなる

でもね、ファッションアイテムの定義なんていうのは意外とゆるいもの。

初期設定を満たしていなくても、多くの人がソレはソレと思えばソレになるものだ。
……何言ってるんだか、分かりますね?

とにかく僕は今年、コイツをトレンドのステンカラーコートと見なして着ることにした。
確か6~7年前にグリーンレーベルリラクシングで購入したこちらのコート。
買ってから数年間はよく着ていたのだけど、飽きてしまってクローゼットの奥の方に仕舞い込んでいた。

ビッグシルエットのトレンドはいまだ継続しているので、最新流行に合わせようと思えば、もっとズルズルに大きいサイズで裾丈の長いものを着た方がいいと思うのだが、僕の三分の一ステンカラーコートはジャストサイズ。裾の長さも標準的だ。

でも、これで良い。
真っ当なサイズ感のものは結局、長く着られるし大人っぽいから、こうしてまた日の目を見る日がくるものだ。
ポール・ウェラーだってジャストサイズだし。

春近しといえどもまだまだ寒暖差が大きく、真冬の寒さも多い今日この頃。
このステンカラーコートは取り外しできるライナーがついている点も優秀だ。

今からゴールデンウィーク前頃まで着られる予感がしている。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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