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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

大人の男にはタブーとされるナイロン製の“バリバリ財布”を買った理由

P01(「プレイ」と読むのだそうだ)という大阪のブランドのミニミニ財布を買った。

前に本コラムで、僕はthe RIDGEというブランドのマネークリップと、コム・デ・ギャルソンのミニ財布を併用していることを書いた。
特に過不足を感じることなく使っていたのだけど、ちょっと飽きてきたのでそろそろ新調したいと思っていたのだ。

でも僕はここのところずっと、財布の必要性そのものを疑っている。
キャッシュレス決済の動きは加速し、近所で買い物したり食事したりするだけであれば、もはや財布はほとんど不要。
Suicaとクレジットカードをソフト的にぶち込んであるiPhoneひとつポケットに入れておけばOKだ。

でもまだ財布が必要な場面もある。
相変わらず現金のみという商店はあるし、駐車場や駐輪場、自動販売機のキャッシュレス化は遅れている。
こういうものこそ、とっととキャッシュレスにしたらいいのにと思うんだけど。

それに、いまだにポイントカードを何枚か持ち歩かなければならないのは辛い。
レジでは、なんとかのひとつ覚えみたいに「ポイントカードお持ちですか?」と聞かれる。冷静な顔でサッと差し出すけど、早くアプリ化しなさい!と心の中では叫んでいる。

レジで支払いするたびに、レシートともに出てくるビロ〜ンと長い次回優待券的なものを渡してくる店(ドラッグストア系に多い)にもうんざり。
そんなもので客を釣ろうなんて、何百年前の発想?と心の中で悪態をついている。優待券も速やかにアプリ化しなさい。

完全キャッシュレス社会は間もなく。だからこそ財布はなるべく手軽なものを

そんなこんなで、財布なんて文化は早くなくなれば良いと願っている僕としては、今さら立派な財布を買う気にはなれない。
なるべくコンパクトでリーズナブルで、でもちょっとだけおしゃれなのがいいな……と思って、そんなに気合を入れずに探していた。
そしたら、このちょうどいい塩梅の財布が見つかったのだ

P01は、スノーボードをバックボーンとするブランドで、スキーやスケートボード、サーフィン、自転車、その他アーバンアウトドアに必要とされる、都会と自然をつなぐプロダクツを展開しているのだとか。

僕が見染めたこのナイロン財布は、一枚の布を切らずに、折って縫い合わせる作業だけでつくったものなのだとか。
正直いえば、それは必要なの?切ってもいいんじゃない?と思わなくもないが、出来上がったブツがとてもいい感じなので文句はない。
ポケットや小銭入れスペースは必要十分だし、開いた中央部分に札を二つ折りして収めるとちょうどいいのが気に入っている。

この財布、ナイロン製で留め具はマジックテープ。いわゆる“バリバリ財布”だ。
いい大人がナイロンのバリバリ財布を持っていると、女子にモテないというのは定説になっている。
デートの際、「俺が払うよ。バリバリバリー」ってやると、女の子はたいそう幻滅するんだとか。
でもね、そんなことどうでもいいんだよ! 財布は、世の中が完全キャッシュレス化するまでの暫定的な持ち物にすぎないし。

第一、デートなんかしないし。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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