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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

80年代のサブカル馬鹿ティーンエイジャーを狂喜させたテレビ番組

1980年代、パンク・ニューウェイヴ系サブカル馬鹿ティーンエイジャーだった僕にとって、一番の情報源は言わずもがな、「宝島」「DOLL」「FOOL’S MATE」といった雑誌。
だけど雑誌の文字&写真の情報だけでは満たされず、生き生きと動く映像を常に欲していた。

でもYouTubeなんて影も形もなければ衛星放送さえない時代だ。
ミュージックビデオ全盛期だったので、「ベストヒットUSA」をはじめとするMTV系音楽番組は人気だったが、何しろ僕はインディーズ系なので、VHFのメジャーな番組ではなかなか満足できなかった。

そんな僕を喜ばせてくれたのは、UHF局のテレビ番組だった。
ここから先は、地方・世代・趣味嗜好の合うごく一部の人にしかピンとこない話だと思うけど、構わずいくぜ!
V局ではフォローしきれないディープな音楽情報を積極的に発信するU局としては、名番組「ミュージックトマト」(略してミュートマ)を抱えるテレビ神奈川が有名だったけど、残念なことに僕が住んでいる地域では受信できなかった。

その頃の僕は東京の辺境、三多摩地区の北端に住んでいたので、入るU局はテレビ埼玉。そして、そのテレビ埼玉でもすごい番組を放送していた。
平日夕方の「Sound Super City」(略してSSC)だ。
内外のインディーズ系バンドのミュージックビデオやライブ映像をガンガン流すSSC。
僕にP.I.L.やバウハウス、エコー&ザ・バニーメン、デペッシュモード、ニナ・ハーゲン、キュアーなどなど、旬なニューウェイヴバンドの動く姿を初めて観せてくれたのは、SSCだった。

いま考えてみると、VHF局や音楽路線で先行するテレビ神奈川に対抗するという戦略があったのかもしれないけど、単純にそっち系が好きなディレクターがいたんだろうな。

NHKのアーカイブサイトにある伝説的番組「YOU」は、いま観ても新鮮

そして本来メジャーであるはずのVHF局も、深夜になると面白い番組を放送していた。大人のエロ番組として名高き「11PM」や「トゥナイト」も、ときどき何を思ったか、インディーズバンドの情報を流したりするので気が抜けなかった。
泉麻人が司会をする「冗談画報」も忘れてはならない。

そして実は、どんなテレビ局よりもトンがっていたのはNHKだった。糸井重里が司会する若者向けトーク番組「YOU」なんて、よくこんな番組を作れたものだと今でも思う。
NHKの公式アーカイブで当時の映像がちょっとだけ観られるので是非どうぞ。

何しろオープニングとエンディングのテーマ曲は坂本龍一だし、タイトルバックの絵は大友克洋だ。
すごいことだ。

中学時代、生のYMOやRCサクセションをこの番組で観て、えらく興奮した。盆栽の扮装で踊りまくるパフォーマーの沼田元氣を知ったのも、段ボールアートの日比野克彦を教えてくれたのも「YOU」だった。
NHKはすごかったのだ。

ライセンス的に危ないのでリンクは貼れないが、検索すればYouTubeで観ることができる「インディーズの襲来」も、1985年にNHKが放送した伝説的特番だ。
ラフィンノーズ、ウィラード、有頂天、ガスタンク、マダムエドワルダ、G-シュミットなどなど、当時勢いをつけつつあった国内のインディーズバンドが総出演。
日本でその後の数年間、インディーズが大ブームになりバンドブームへとつながったのだが、この「インディーズの襲来」の放送が起爆剤となったというのは定説だ。

とっちらかったままのうえ、まだまだ書きたいことが山ほどあるけど、大多数の人にはなんのこっちゃという話なので、このへんで切り上げよう。
続きは、いつかどこかの居酒屋で。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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