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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

80年代の空気を真空パックしたロングセラーヘッドフォンPORTAPROは最高!

まもなく衣替えの季節。
秋の訪れとともに入れ替えるのは衣類だけではない。

愛好家はよくご存知と思うけど、暑い時期には使えたもんじゃないのがヘッドフォン。
あまりにも蒸れ蒸れで、耳が汗でビショビショになるからだ。
僕の場合、夏はAirPods、秋〜春はヘッドフォンと切り替えている。

現在愛用中のヘッドフォンは二つ。
耳全体覆うオーバーイヤータイプと耳に乗せるオンイヤータイプを持っていて、場面に応じて使い分けている。

オーバーイヤータイプはSONYのワイヤレスノイズキャンセリングヘッドフォンWH-1000XM3だ。
口コミサイトでたいへん評判が良かったので昨年入手したのだが、噂に違わず、もう何も言うことがないくらい上出来なヘッドフォンだと思う。

特筆すべきは、とにかくノイズキャンセリング性能が抜群だという点。
ノイキャンをオンにすると驚くほどの静寂が得られるので、カフェで仕事をしたり電車で本を読んだりするときは最高だ。

それに音質というのは周囲の雑音に強く影響されているということがよくわかる。
ノイキャンオン/オフの切り替えで、音楽の聴こえ方がまるで違う。

かなり売れ行きもよく、後継機のリリースも期待されている本機だけど、とりあえず今のところまったく文句はないので、僕はまだしばらく1000ちゃんを愛用していくつもりだ。

中高生の頃に使っていたような雰囲気のPORTAPROは装着するだけで気分も上がる

オンイヤータイプの方は、アメリカのメーカーKOSSのPORTAPRO。最新鋭機種のWH-1000XM3とは好対照のヘッドフォンだ。

ワイヤレスもスマホコントローラーも、もちろんノイズキャンセリングも、なーんもなし(ちなみに実勢価格は4,000円台とたいへん手頃)。
イヤホンジャックに差し込んで、ただ耳に当てるだけのシンプル極まりない、“ザ・ヘッドフォン”である。

それもそのはず、このPORTAPROの発売は1984年。
なんと35年間も変わらぬ姿で作られ続けている、超ロングセラーモデルなのだ。
そう言われてみると、中高生の頃に使っていたヘッドフォンってこんなだったと、懐かしく思う同世代の人も多いだろう。

長いあいだ売られ続けているのは、それだけ優れた製品でリピーターが多いからだ。

耳に装着し、音量を小さく絞って音楽をかけると、ヘッドフォンからではなくて、どこかのスピーカーから流れてくる音を聴いているような錯覚にとらわれる。
耳を覆うわけでもノイズキャンセリングするわけでもないので、周囲の音が自然に混ざるうえ、特定の音域を無理に強調しないごく自然な音なので、そんな気分にさせられるのかもしれない。

街をぷらぷら歩いたり犬の散歩をしたりするとき、軽くBGMを流しておきたい場面では最高のヘッドフォンだ。
それに何より、我々の青春時代をそのまま真空パックしたようなエイティーズっぽいフォルムがたまらない。

実はこのPORTAPRO、フォルムはそのままでワイヤレス化し、スマホコントローラーもつけた最新バージョンもリリースされていて、大いに気になっている。
でもやっぱり、このレトロバージョンを頑なに使い続けるべきか。少し迷っているところだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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