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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

新しい物好き&デジタル最優先の僕が、手書きスケジュール帳を買った理由

2008年に初めてiPhoneを買ったその日、僕は手書きの手帳を捨てた。
以降のスケジュール管理はすべて、iPhoneにインストールしたGoogleカレンダーアプリでおこなってきた。Googleカレンダーなら、アカウントさえ記憶していれば他のどんな機器からもアクセスできるので、便利なことこの上ない。

ちょっとしたメモやTo Do管理もiPhoneの機能でこと足りた。
スマホ革命以降も、「なんだかんだ言って、やっぱり手帳はアナログが一番」という人は多かったが、僕には信じられなかった。デジタルを使いこなせていないからそういうことを言うんだと、手書き派を内心ではバカにしていたかもしれない。

でも最近なぜだか、アナログなものに妙に心惹かれる。
しばらく死蔵していたビニールレコードをよく聴くようになったし、手書きの日記を書くようになった。
一時期は、紙とキンドルの両方がリリースされていたら、間違いなくキンドル版を選んでいた本も、最近はあえて紙を選ぶことが多くなった。

こういうのを“揺り戻し”というのだろうか。
デジタルであることが当たり前になってしまうと、持ち前のひねくれ根性が顔を出し、アナログに再び価値を見ているのかもしれない。

もっともアナクロチックな能率手帳と、昭和感たっぷりのペンセット

そして、13年ぶりにアナログのスケジュール帳を買った。
来年は不便さを込みにして、あえてスケジュール管理は手書きでやってみようと思うのだ。僕の中ではひとつの実験である。

それではどの手帳にしようかと売り場で吟味した結果、どうせならもっともアナクロチックでド定番のものをと思い、「能率手帳」を選んだ。
カバーに印字された「’20」の数字が、ゴシックではなく明朝系のフォントなのがいい味を出している。

真っ白ではなく少し黄ばんだ紙質も、なんだか懐かしい。
思えば僕の人生初の手帳は、この能率手帳だった。小学生の頃、父親の職場で配布されている能率手帳を、毎年ひとつもらって使っていたのだ。

アナクロな手帳を使うからには、ついでに筆記具も昭和テイストのものにしたくなり、新たに2本のペンを買った。三菱鉛筆製のBOXYとパイロットのプチ〈細字〉である。
いずれも昔、筆箱の中に入っていた懐かしの文具。
文房具というのは毎年、新製品が発表されるけど、何十年も変わらぬ形で売られ続けているロングセラー商品も多く、その気になって探せばすぐに大昔と同じものが見つかるから嬉しい。
これで来年は、楽しい手帳ライフが送れる気がする。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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