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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

僕にはまだ早いと思いつつ買った作務衣は、意外と快適な部屋着となった

男性が蕎麦打ち、女性がパン焼きに興味を持つようになったら、いよいよ焼きが回ったという説に概ね賛同している。
さらに焼きが回った男女に共通する趣味は、陶芸だろう。

蕎麦打ちにも陶芸にもまだ足は突っ込んでいないが、僕ももう50代。
ストリートだなんだと言ってても、もはや初老と言われてもおかしくない年頃だ。
いや、さすがに初老はないな。“初期の初老”ぐらいにしておいてほしい。

僕は昔から色々な趣味に手を出してきた。
極め尽くしたひとつの道はなく、あれをやったりこれをやったりすること自体が楽しいので、たいていは初心者の域をようやく脱する頃に飽きて、次の趣味に手を出してしまう。

しょうもないと言えばしょうもない話だが、持って生まれたそんな性質なので、近い将来に蕎麦打ちや陶芸をはじめる可能性も大いにある。
なんでも形から入るのを良しとしている面もあるので、その際にはそれなりのファッションで固めたい。

蕎麦打ち・陶芸といえば、作務衣である。

本格的な藍染の作務衣なので、着心地抜群だし色も美しい

実はすでに作務衣を一着持っている。
ある書籍の取材で、藍染産業が盛んな埼玉県羽生市を訪問した際に買ったのだ。
自分にはまだ早いかなーと思ったものの、美しい藍染の作務衣を見ていたらつい欲しくなってしまった。
いつかそのうち、蕎麦や陶芸でもはじめたら着よう、それまでは寝かせておこうと思っていた。

しかし試しに袖を通してみたら、これが非常に着やすいし、武州藍染の特徴という青縞あおじまと呼ばれる自然な縦の模様が、デニムの縦落ちのようでかっこいいし、なんだかんだで気に入ってしまった。
そして部屋着として愛用している。

ただしまだ本格的に作務衣を着るのにはなんとなく抵抗があるので、Tシャツの上に重ね着し、ボトムはネイビーのスウェットパンツというなんとも中途半端な格好だ。
でも自分の中では、これはこれで悪くないと思っているのだ。

藍染のズボンも買い足し、頭に手拭いを巻いて蕎麦を打つようになる日も、意外と近い気がする。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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