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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

吹いてるの? いや飲んでるの! ほら貝ペットボトルケースでワンチャン受けを狙う

家の食卓に転がっていたフェリシモの通販カタログを、何の気なしにパラパラとめくっていたところまでは覚えている。
でもそのあとの記憶が曖昧なのだ。
後日届いた段ボール箱を「何だったっけ?」と思いながら開封してみて、腰が砕けそうになった。
一週間前の俺、こんな物をどうしようと思っていたのか!?

かすかに残っている記憶をたどると、「吹いてる? 飲んでる! ほら貝ペットボトルケース」とコピーがつけられたその商品写真に目が釘付けとなり、ほとんど自動的にスマホをポチポチしていた。

このコラムでも触れたが、僕は前にある現役の山伏を取材し、記事を書いたことがある。
山伏が吹くほら貝に焦点を当てた内容だったので、一般の人よりも少しだけほら貝について詳しく、また興味も持っていた。

だから変な潜在意識的なものに衝き動かされたのかな?
買っちまったものはしょうがない、使うしかあるまい。

意外とよくできたほら貝ペットボトルケースだが、使う場面は非常に限られている

よく観察してみると、このほら貝ペットボトルケースはなかなかよくできた商品だ。
色・柄・大きさ、それに回りにつけられた赤い紐の飾りなど、僕が取材で見た本物にそっくり。
ファスナーで開いてペットボトルを装着でき、内側にはアルミが施されているので保冷機能もバッチリだ。

しかし、いつどこで使えばいいのやら?
地元で使っていたら間違いなく近所の奥様方のひそひそ話の対象になるだろうし、都心でぶら下げて歩いたら変な意味で人気者になるだろう。

家族に一回だけ受ければいいやと思い、紅葉を見に出かけた日、密かに持参した。
コソコソとペットボトルを装着し、山に向かってさりげなく飲んでいると、小学5年生の娘にたいへん受けた。
これでいいのだ……、父は満足である。

ところで、今の日本でもっとも山伏の装束とほら貝が似合う人物は誰だと思いますか?
僕はリーチ・マイケルだと思います。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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