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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

フランスパンを運ぶためのトートバッグは、使い勝手抜群な男の道具だった

シンプルで潔いデザインの肩かけバッグ。“バゲットトート”というものだそうだ。
バゲット、つまり長いフランスパンを入れる用途のバッグである。
セレクトショップなどで人気の新進気鋭バッグブランド、テンベアのものだ。

丈夫なキャンバス製で縫製もしっかりしていて質実剛健。なかなか良いものだということはよくわかる。
でも僕は、前にも本コラムで書いたように、なるべくバッグを使わない手ブラ派。
特に肩かけトートはなよっとした雰囲気になるので避けてきた。

ではなぜ、このバゲットトートを持っているかというと、妻が何気なくメルカリで購入し、何気なく「似合いそうだから」と僕にくれたのである。
“肩かけトート使わない派”だということに気づいていなかったのはしょうがない。
でも、なぜピザの配達人柄?

うちの妻は僕に対してどんなイメージを持っているのだろう。
謎だ。

カメラの三脚、蛍光灯、ソーダストリームのボンベ……長いものを運ぶ機会は意外と多い

バゲットを入れるのに特化したトートバッグ、という謳い文句は気に入った。
そんなふうに機能を限定されるほど、“道具”感が強まり、なぜか男心がくすぐられる。
確かに、片側にだけハンドルがついた縦型トートは、長いバゲットを差し込んで運ぶのにとても都合のいいデザインだ。

でも待てよ。
50年間生きてきて、持てあますような長いバゲットを運んだことって、今まで何回あっただろう?
厳格に用途を守っていたら、このバッグの出番はほとんどないだろう。

でも別にバゲットに限定することはないのだ。
よく考えてみると、長いものを運ぶ機会はときどきある。
子供の運動会や学芸会の日、カメラの三脚や一脚は収まりが悪くて、いつもむき出しで手に持って運んでいた。
長い蛍光灯を買ったときも、ソーダストリームのボンベを交換しにいくときも、いつも難儀していたじゃないか。

それにこのバッグ、長いものを入れなくても実はすごく使い勝手がいい。
口が大きく開くので、ちょこちょこと買い物をするときに、品物をどんどん入れていけるのだ。

使ってみるとすごく便利! これから使用頻度が高くなりそうだ。
“肩かけトート使わない派”は撤回することにします。

それにしてもなぜ、ピザの配達人柄……?

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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