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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

秋冬物で一番有能な服は、グレーの無地スウェットパーカである

春夏の白無地Tシャツのように便利な着回しアイテムとして、秋冬に大活躍するのがグレー無地スウェットパーカだ。
グレーは他のどんな色とも合わせやすいし、フードを外に出すように重ね着すれば、テーラードジャケットから革ジャンまで、適度にカジュアルダウンされた好コーディネートになる。

僕は四着のグレーパーカを持っている。

まだ寒さが厳しくなる前の初秋に使うのは、アメリカのTHREADS 4 THOUGHTというブランドの薄手オーガニックコットンもの。
軽く肌触りがいいし、前ジップ仕様は一番外側のアウターとして使うのに向いている。

もう少し涼しくなったら、H&Mの少し厚手のものに切り替える。
グレーパーカは白Tシャツと同様、デザイン性が前面に出ない無記名的なものの方が着回ししやすい。その点において、H&Mのシンプルパーカはなかなか優秀だ。

少し硬めのゴワついた生地で、首元がボタン開き、裾リブなしというちょっとユニークなパーカは、アメリカのバーバリアン社製。1981年に創業したここは、ラグビーウェアの製造を主軸にするスポーツブランドだ。
RWCが終わってしまった今も熱が覚めない僕は、これを着て冬の大学ラグビーでも観戦しにいこうかと思っている。

スウェットパーカの最高峰は、チャンピオンの12オンスリバースウィーブである

そしてグレー無地スウェットパーカの最高峰で、僕も長年愛用しているのはチャンピオンのリバースウィーブ。
その名はチャンピオンの専売特許であるスウェットの縫製方法に由来している。

綿製品であるスウェットは通常、洗濯と乾燥を繰り返すうちにどうしても縮んでしまう。
リバースウィーブは、普通は縦に使うスウェット素材をあえて横にすることで、縮みを抑えることに成功。チャンピオンはこの製法の特許を1934年に取得している。
さらに身頃の両脇に縦リブを使用することで、より縮みにくく着こんでも型崩れしない完璧なスウェットを完成させ、1952年に二度目の特許を取得。

そんな歴史の長いリバースウィーブは、人呼んで“キング・オブ・スウェット”。
ストリートウェア界における名品中の名品なのだ。
特に、ぼってりとした厚みのある12オンス生地のリバースウィーブを着ると、首の後ろにフード部分がモコモコと立って見える。
それがかっこいいのだよね。

僕がリバースウィーブ好きになったのは、1980年代にUSハードコアのサブジャンルであるストレートエッジや、ストレートエッジ第二世代であるユースクルーのキッズが愛用していたから。
だからリバースウィーブは、ゴリラビスケットのようにラフに着こなしたい。

ほとんどの人にとってはなんのこっちゃ?という話で、完全に自己満足だろうけど、いいんです。
ストリートスタイルっちゅうのは、そもそもそういうものですから。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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