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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

岡本太郎作のミッドセンチュリー家具を和室に置いたらすごくしっくりきた

我々は、生活が徐々に洋式化していくのをリアルに体感した最終世代かもしれない。
僕が小さな頃、最初に住んでいた社宅は全部屋和室でトイレは和式だったし、その後に引っ越した団地にも当然のように和室があった。
いつの間にかカーペットでの生活が中心になり、今ではほとんどフローリングだ。
昔の人みたいに“畳の上で死にたい”なんてまったく思っちゃいないけど、畳の感触にまだ愛着があるのが、我々グリズリー世代。

実は我が家には、畳敷きの和室が一部屋だけある。
だがいまの時代、和室というのはなかなか使いづらい。
インテリアショップに売っている手頃でおしゃれな家具は、ほとんどが洋室用のもの。
アンティーク家具を置いて、サザエさんか三丁目の夕日風な暮らしをしたいという願望もないので、我が家の和室には基本的に家具は置かず、畳の感触を味わいながらゴロゴロするガランとした空間になっている。

子供はもしかしたら、和室を“コタツを出すために特化した部屋”と認識しているかもしれない。
自分にも覚えがあるが、子供はコタツが大好きだ。
コタツを出す季節になると、いち早く一番いい席を自分のスペースと定め、お菓子やらゲームやら漫画やら、好きなものを持ち込んで根城にし、寒い日はずっとそこで暮らす。これが正しい冬の子供の姿だ。
家の中に家族と過ごす快適な場所があるのはいいことだから、和室はそれなりの役割を果たしているんだろうな。
もちろん、オトナである僕もコタツ大好きなので、冬は和室滞在時間が長くなる。

太郎チェアをきっかけに、畳敷きの和室をもっとオシャレにする方法を考えたくなった

コタツ部屋におしゃれは求めていないので、座椅子などはその辺のホームセンターで適当に買ったものを置いている。
でも最近、和室にあったらすごくかっこいいんじゃないかと思えるアイテムを発見し、購入した。

巨匠・岡本太郎がデザインした、ラタン製のスツール。
「サイコロ椅子」という名前だった。
1957年にデザインされたというこちら、和とミッドセンチュリーの要素が絶妙にミックスされた雰囲気で非常にかっこいい。
2011年に生誕100年を迎えたことを記念して復刻されたものなんだとか。
和室で使うことを想定したものではないが、置いてみたらやっぱりすごくしっくりきた。

畳の部屋で椅子というのも邪道だしちょっと変な感じなのだが、椅子に座る生活に慣れた我々にとって、いくら和室といえでも腰かけられる椅子がひとつあると実はすごく便利で快適。
岡本太郎のサイコロ椅子をきっかけに、和室をもう少しオシャレにしていこうかなと思っている。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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