よみタイ

佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

11月17日まで開催しているバスキア展は、みんな見た方がいいと思うぞ

東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催されているバスキア展―メイド・イン・ジャパン―を見にいった。
バスキアの本邦初となる本格的な展覧会だ。

1980年代のアートシーンに彗星のごとく現れたハイチ系アメリカ人画家、ジャン=ミシェル・バスキアは、ジャズやヒップホップ、アフリカの民俗や人種問題など、黒人画家ならではの主題を扱い、ヘロインのオーバードーズによって1988年に27歳で早世するまでのわずか10年で、3000点を超すドローイングと1000点以上の絵画作品を残した。
この展覧会ではバスキアと日本との多方面にわたる絆、そして日本の豊かな歴史や文化がその創作に及ぼした知られざる影響を明らかにするため、世界各地から集めた約130点の絵画やオブジェ、ドローイングで構成されている。

ふう。
上記はまあ、展覧会の公式情報などをカンニングしながら書いたのだが、バスキアの作品はストリートファッションとも縁が深く、僕は以前からファンだったのだ。

黒人画家の目に映った80年代の日本

展覧会は圧巻だった。ものすごく良かった。
その良さについてくどくど言葉にするのは野暮というものだが、ひとつひとつの作品の前に立つと、頭が真っ白になるほどのインパクト。

「メイド・イン・ジャパン」という副題が示しているように、日本となんらかの絡みがある作品が多く展示されている。
だがそれは公式情報の “日本との絆、日本の豊かな歴史や文化が創作に及ぼした影響”という言葉から想起される、ポジティブなものばかりではない。
バブルに向かってのぼり詰めていくイケイケどんどんの80年代日本が、ニューヨークの黒人画家の目にはどんなふうに映っていたか、ダークにリアルにそしてハードに表現されている。
自信を失いかけている今の日本にはそんな風に考えたい人が多いようだが、バスキアは決して親日派というわけではなかったのだ。

純粋に美的好奇心を満たすために見るのもいいし、上記のような社会的観点から見ても面白い。
もっと下世話な話が好きな人は、ZOZO前社長の前澤友作氏が123億円で落札した噂の絵画も展示されていると聞けば、興味が湧いてくるのではないだろうか。

会期は11月17日まで。あとわずかなので、まだの人は急いで!
そうそう、グッズコーナーも充実していて楽しかった。
僕はiPhoneケースを購入。
ずっとジャクソン・ポロックのケースを使っていたんだけど、だいぶ傷んできていたのでちょうど良かった。
iPhoneケースはやっぱり、アート作品に限りますな。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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