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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

秋になると履きたくなるブラウンレザーのウィングチップシューズ

秋になると履きたくなるのが、オーセンティックな佇まいを持つブラウンレザーのウィングチップシューズだ。

ウィングチップシューズはもともと、イギリスのカントリージェントルマンのためのアウトドア用シューズだった。
メダリオンと呼ばれる穴はただの飾りではなく、湿地などを歩いて濡れた靴が乾きやすいようにという目的で施された通気穴なのだ。

長い歴史の中で徐々にフォーマルの部類に組み込まれるようになり、現代の日本ではビジネスマン用シューズ的な扱いを受けることが多い。
でも僕は、ルーツを尊重してカジュアルスタイルに合わせた方が断然かっこいいと思うのだ。

僕のお気に入りはオールデンのウィングチップ。
一口にウィングチップといっても、ヨーロッパのものとアメリカのものでは飾りの付け方が異なる。
オールデンはアメリカのブランドなので、つま先からはじまった飾りが直線的にかかとまで伸びる仕様。
これはアメリカンブローグ、あるいはロングウィングチップと呼ばれる。
ちなみにイギリスを中心とするヨーロッパのウィングチップは線状の飾りがかかとまで伸びず、半分くらいのところでソールに向かって曲がっていく。

僕のオールデンは以前ハワイに行ったとき、レザーソールというホノルルの有名靴店で購入したもの。
型番で調べてみると、レザーソールの別注品のようだ。

手入れしながら一生履きたいオールデンのウィングチップシューズ

オールデンといえば木型(ラスト)にこだわるブランドとして有名で、長年の研究によって全13型を開発、保有している。

僕はお店でいくつかのシューズに足を通し、一番しっくりくる木型のものを選んだ。
このウィングチップは“バリーラスト”というオールデンの中ではもっとも一般的な木型を使ったもの。
とても履きやすいので、僕の足の形は十人並みということだ。

自分の足にぴったり合ったオールデンを履いた人はよく、「スニーカーより履き心地がよい」と言う。
アメリカンスタイルの服と一緒で、オールデンはイギリス製の靴などと比べると、ややゆったりとしたつくりをしている。
それが、快適な履き心地につながっているのだと思う。

僕のオールデンは買ってから10年経っているので、革に少しシミが出てきたしソールのコバも傷んでいる。
ソールは一度付け直してもらっているが、そろそろまた修理に出すタイミングだ。
そもそもカジュアル使いだからそんなに丁寧には扱ってはいないのだが、こうやって最低限の手を入れながら大事に一生履き続けよう。

僕にとってはそれだけの値打ちがある靴なのだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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