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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

一世風靡したあの頃を思い出す、ユニクロ×エンジニアド ガーメンツのフリース

かなーり久しぶりに、ユニクロのフリースを購入した。
ユニクロ×エンジニアド ガーメンツのコラボ商品を、色違い・デザイン違いで2パターンゲットしたのである。

我々グリズリー世代にとって、ユニクロといえばフリース、フリースといえばユニクロという時代があった。
僕らはユニクロが、“安かろう、ダサかろう”だった1990年代をよく知っている。
そんなユニクロがまず起こしたのが、“フリース旋風”だった。

2〜3万枚売れればヒットと言われていたフリースを、1998年には200万枚、1999年には850万枚作っていずれも完売。
翌2000年には2600万枚という販売数を記録したのだそうだ。

今でもよく覚えているけど、あれは本当に劇的だった。
ついこの前まで「ユニクロ? やっぱりちょっとね(笑)」と言っていたファッション業界のおしゃれさんまでもがこぞって買いに走り、「よく見たら作りはいいし、デザインもシンプルでかっこいいし、カラー展開は豊富だし、何より安いし、とにかく最高!」と絶賛しだしたのだ。

僕も当時、「このビッグウェーブ、乗るしかない」と思って色違いで2〜3枚買い、愛用していた記憶がある。

このフリース大ヒットが、今日のユニクロ大帝国を築く礎になったのは間違いない。

定評のあるユニクロクオリティ素材にピリッとした味付けが効いている

しかし、同じ形の服が何千万枚という単位で売れ、老若男女がそれを着る光景はさすがに異常だった。
あまりにも普及しすぎて、その後の数年間はどこに行っても、同じフリースが目について仕方がなかった。
前から同じ色のユニフリを着たおばあちゃんが歩いてくると、回れ右をして回避したりしたものだ。

その後も高品質な商品を数々リリースしてきたユニクロには、僕もずいぶんお世話になっているが、フリースだけはずっと避けてきた。
なんとなくあの“売れすぎたフリース”のイメージが頭に残り、また着たいとは思えなかったのだ。

ところが、このエンジニアド ガーメンツとのコラボフリースを見た瞬間、一目惚れしてしまった。
買ったのは、肩にスナップボタン、胸にポケットがついたプルオーバータイプと、フリース&ナイロンのコンビネーションデザインが光る前開きタイプ。
いずれも今めちゃめちゃ人気で、品切れ続出らしい。

エンジニアド ガーメンツというのは、東京を代表するカリスマ的セレクトショップであるネペンテスが1999年に立ち上げたオリジナルブランド。
主にニューヨークで企画から生産が行われるそのコレクションは、古き良きアメリカンテイストを巧みに取り入れたデザインで、おしゃれ上級者からも高く評価されている。

もこもことした厚手のボアフリース素材はさすがのユニクロクオリティだし、そこにシンプルながらもピリッとしたエンジニアド ガーメンツの味付けが加えられ、これまでにはなかった深みのあるフリースになっている。

昔のフリースみたいに売れすぎちゃうとちょっと嫌だけど、本当にとても良いものなので、オススメせずにいられない。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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