よみタイ

佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ヘアカット1000〜愛想のかけらもない1000円カットが、結局は一番快適なのだ

行きつけの美容院も理容店もない。
同じ店にはなるべく連続で行かないことにしている。

行きつけをつくらないのは、スタッフとの会話が面倒くさいからだ。
顔なじみになるほど深く話さなければならないので、常に一見さんとして当たり障りのない会話に留めるようにしたい。
いい歳して情けないが、軽いコミュ障気味と自覚しているのでこればかりは仕方がない。

フリーで仕事をしている僕が散髪に行くのは、たいてい平日の昼間。
時間を自分の裁量でコントロールできるのだから、わざわざ混雑している休日に行くことはないのだ。

みんなが仕事をしている時間帯に、カジュアルな服装でふらっと現れる中年客に、スタッフさんは髪を切りながら十中八九こう聞いてくる。
「今日はお休みですか〜?」。
向こうは話のとっかかりと思っているんだろうけど、この質問が一番嫌いで、心の中で小さく舌打ちしてしまう。

自分の職業は何で、どんなスタンスで働いているのかを説明しだすとキリがないので、曖昧な笑顔で「ええ、まあ」と切り抜ける。

ツーブロックの刈り上げ部を維持するだけなら、1000円カットに勝るものはない

その点、1000円カット(正確には税込1100円だけど)はとてもいい。
僕は、3回に2回は通りがかりの1000円カットを利用するようにしている。

1000円カットを愛用するのは、もちろん値段が安いこともあるけど、スタッフが無愛想でまったく会話をふってこないからという理由が大きい。
1000円だとあんなに愛想がなくなるということは、普通の美容院や理髪店の数千円という値段の中には、シャンプーやブロー、セット代などのほかに、“お愛想代”がかなりの割合で加算されているのだと思う。
コミュ障の僕は、「それ、いらんし」と思うのだ。

ここのところずっと、大人の男の間では“バーバーカット”が流行っている。
トップを長めに残したまま横と後ろを均等の長さにバリカンで刈り上げるツーブロックスタイルだ。
この髪型、刈り上げ部をさっぱりとキープするのが肝腎だが、手入れはとても単純で簡単。こんな言い方は少し失礼かもしれないが、1000円カットで十分なのだ。
だから僕は、ツーブロックの刈り上げ維持は1000円カット、トップをいじったりパーマをかけたりするときは新しい美理容店へ、という風に使い分けている。

クドクドと書いてきたけど結論としては、誰か中年性コミュ障を治す方法を知っている人はいないか、ということだ。

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント

関連記事

よみタイ新着記事

新着をもっと見る

佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

週間ランキング 今読まれているホットな記事