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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

もう我慢できなくなったので、噂のデオコを買ってみたよ! 

別に若い女の子の匂いが嗅ぎたいわけではない。断じて。
おじさんの間でデオコが流行っているという、不思議現象を検証するためである。
さらに言えば、このコラムに書かなければという職業意識のカタマリなのである。
言を重ねるほど嘘っぽくなるが。

念のためご存じない方に説明しておくと、デオコとは、ロート製薬が昨年販売開始した薬用デオドラントのブランド。
同社は独自の研究により、若い女性に特有の甘い香り、名付けて“SWEET臭”の元が、ラクトンC10/C11という物質であることを発見。
女性の中でも10代後半に分泌が最高潮に達し、30代以降では激減するというラクトンをふんだんに配合したのがデオコなのである。

今年に入ってからSNSで評判が広がり、一時は品切れ店続出となったデオコ。
本来は加齢臭が気になりだした女性がターゲットのはずなのだが、買っていくのはなぜか中年男性ばかりだということが話題になった。

若い女性の香りを身にまとってみたいおっさんが、この世にはすごくたくさんいるということが、思わぬ形で浮き彫りになったのである。

誰もいない家でひとりデオコのパッケージを開け……。こ、これは!

そしてついにその日がやってきた。
ボディソープと、2タイプの制汗剤がラインナップされているデオコブランド。
その中から僕が選んだのは、ロールオンタイプの制汗剤だ。

青を基調とした極限までシンプルなデザインは、男の僕でもレジに持っていきやすかった。
そこがこの商品の最大のポイントなのかもしれない。

いそいそと持ち帰り、家に誰もいない時間を見はからってパッケージから取り出す。
いよいよだ(ゴクリ)。

……ちょっと待った!
どんどん変態チックになるので、シンプルにいこう。

「デオコおじさんに、おれはなる!」
ますます怪しいかな……。

品行方正な人生を送っているので、若い女子の香りの正解はよくわからない。
でもデオコを手首・首筋・脇の下などにクリクリ塗ってみて思った。
ふんわりと漂ってくる、甘く微かないい香り。
ああ確かにこれは、何十年も前に嗅いだことがあるかもしれない香りかもしれなくもない!
何だか嬉しいし気持ちいいしおじさんに人気なのがよくわかる。

今回、ドラッグストアへ行ったついでに、デオコと一緒に肩こり用のサロンパスローションも買った。
だって、五十肩が辛いから。
並べて写真を撮ってみたら、なんか目頭が熱くなってきちゃった。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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