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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

今世紀初頭にブームとなったリーバイスレッドの古着価格が高騰中だと⁉️

リーバイスレッドを覚えているだろうか?
1999年、リーバイス・ヨーロッパからリリースされ、世界的に盛り上がったリーバイスのプレミアムラインである。
複雑な製造工程によって生み出される、人体の構造に合わせた立体裁断が最大の特徴で、非常にユニークなシルエットのパンツやGジャン、ジャケットなどが多数ラインナップされていた。

当時はリーバイス直営店のみならず人気セレクトショップなどで大きく展開され、日本の若者の間でも一大ブームとなった。
だがその流行は数年で落ち着き、新作コレクションの発表自体が2007年を最後にストップする。

ところが2014年、7年ぶりに新作が発表された。
リーバイスレッド第二章が始まったかと期待されたが、新作発表はその一度きりで、その後はまた鳴りを潜めている。
リーバイスというのは、本当に気まぐれなブランドなのだ。

20年落ちのマイジャケットも高値で取引されているが、絶対に売るつもりはない

僕の持っているリーバイスレッドは、2000年代前半にリリースされた“デイナイト”というシリーズのタキシードジャケット。
身頃は柔らかなデニム生地、襟はソフトレザー、裏地はエスニックな生地が使われ、カジュアルながら上品な雰囲気を持つ、なかなか味わい深い一品である。

リーバイスレッドの服の多くは見た目が非常に個性的、というか前衛的なので、ブームが去るとちょっと着にくいものが多かった。
でもこのジャケットは立体裁断というブランドの持ち味を効かせながらも、見た目はそれほど突飛ではないので、僕はブーム後も普通に着つづけていた。

そしてここにきて、リーバイスレッドが古着市場で人気沸騰中だという噂を聞いた。
幻っぽいブランドのスタンスがマニア心を刺激するのか、あるいは90年代テイストブームの流れなのか、はたまたビッグシルエットの流行にシンクロしたのか、はっきりした理由はわからない。

ネットで検索してみたら、僕の持っているジャケットもなかなかいい値で取引されていた。
ちょっとだけ気持ちがうずくが、でも売らない。
こういう時代の徒花的アイテムは、なるべく保持し続けようと決めているのだ。

30年後、ファッションに興味を持ち始めた孫に「おじいちゃんのその変わった服、なに?」と聞かれたとき、「50年前に流行ったリーバイスレッドだ」と答えたらカッコいいんじゃないかな。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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