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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

グルーミング~眉毛をきれいに整えている男はみっともない?

僕は今年50歳になるが、何事も現在40代前半の人たちの感性と、それほど大きなギャップを感じることはない。でもたまに5〜6歳下の人との断絶を感じることがある。
そのひとつがグルーミングに対する姿勢だ。

1998年の長野オリンピック。スキージャンプで大活躍し、表彰台に立った船木和喜選手の姿を見て驚いた。
眉がビシッと整えられていたからだ(ちなみに僕よりひとつ年上の原田雅彦選手は、ノーマル眉だった)。

もちろんそれ以前にも男で眉を整える人たちはいた。だけどそれはツッパリ文化だった。気合の入ったツッパリは、眼光に迫力をつけるために眉を整えた。細く、吊り上げ気味に。
懐かしき『ビー・バップ・ハイスクール』の世界である。

眉毛は整えるためにあるもの……なのかもしれない

でも船木選手の眉はツッパリ由来の感性によるものではなかった。

船木選手は1975年生まれだから、オリンピックの頃は20代前半の若者。そのくらいの世代は、男が眉を整えるのが当たり前になっていたのだ。
甲子園でもヤンキー風ではなくナチュラルに眉を整えた高校球児が増え、イケメン率がアップしていた。

これは仮説だが、男のグルーミングに対する意識は高校時代(マセガキは中学時代)に確立され、一生変わらない。そして男のグルーミングのトレンドは、同時代の女性のトレンドに引っ張られて決まる。

僕が高校生だった1980年代後半、女性の眉はすっごく太かった。だから男も当然、ゲジゲジ眉の方が偉かった。
でもその後、女性が細眉の時代に移ると、男もいそいそと眉を整えはじめたのだ。
ここ最近の女性のトレンドはまた太めに戻っているそうだが、今の高校生男子はどうしているのかな?

僕は現在では常識となった男のグルーミングに、微妙に乗り遅れた世代だ。
でも……。
今は僕もときどき、人知れずこっそりと眉を微妙に整えている。
髪の勢いとは反比例して、眉毛はなぜか妙に勢いを増しているからだ。
そして鏡に映る自分を見て、「あれ、悪くないね?」と思う。

グリズリー世代の中でも意識が分かれる眉グルーミングだが、僕のように抵抗があった人も、これからこっそりとやってみてはいかがだろう。
悪くはないはずだから。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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