よみタイ

鈴木涼美「○○○な女~オンナはそれを我慢している」
よみタイでの大好評連載「アラサー女がそんなことで喜ぶと思うなよ」(今夏、書籍化予定)を終えた鈴木涼美の次なるフェーズは、オンナ目線の女性論。ふと見渡せば耳に目につく、いろんなタイプ…○○○な女たち。女の敵は女じゃないけど、ちょっとどうなの? それでいいの? な現代女性像を浮き彫りに。

フェミニーナな女〜自己主張も自己犠牲もなく来ちゃったよね、って話

一部のホストがまだ日焼けとかしていてキャバクラ嬢がまだ親に隠して仕事していて磯丸水産がまだなかった頃から歌舞伎町にあるアルプスという居酒屋で先日、とあるベンチャー企業で海外案件などを担当しつつ、暇をみては風俗で見つけた気前と性格のいい客と直接会ってセックスしたり、またそういう客を見つけにデリヘルに出勤したりしている同い年の友人とお新香巻きとか食べながら飲んでいたのだけど、ここ2ヶ月ほど会う機会がなかった彼女から、頼んでもないのに変なカミングアウトをされた。

ホストも夜も辞めるから遊ぼうよ! と言われたが

「去年の末に実はさ、献血行った時の検査とその後の病院でわかったんだけど、梅毒持ってたんだよね。今となっては抗生物質で治るからこと無きを得たんだけど。で、私、思ったんだけど、4月から夜を全部辞めようと思って。正直、マイ・おじさん達みんな純情だから性病検査受けてみてって言ったら、え? なんで? 他の男ともやってんの? ってなって揉めたりして随分キレて、もう色々面倒臭くなってさ」

そもそも彼女が「マイ・おじさん」達と付き合っていたのはおじさん好きだからではなく、むしろ正反対で、彼女は基本的に20代前半の美男子しか男としては受け付けないタイプで、でも社員9人のベンチャーにはそうそう新人の可愛い男子なんて入ってこないし、取引相手もだいたいおじさんだし、結局まだ磯丸水産がない頃からずっとホスト通いを辞めておらず、一緒に住んだり無料でセックスする相手は大体はホストで、そうなるとそこそこ高い年収であっても色々とおぼつかず、そういった裏稼業を持たざるを得なかったわけです。

というわけで、おじさんが嫌いだからこそおじさんと日々ヤリまくる生活を送っていた。
 

だから彼女が夜を全部辞めるというのは正直性病が直接的な原因というよりは、半年ほど前に1年くらい同棲していたホストが家に全く寄り付かなくなったあたりに原因があるのだと思うけど、とにかく彼女はオジサンズイレブンを排除した生活を始めることにしたらしい。
というか梅毒はそのホストが持ってきた疑惑が一番濃厚なのだけど、彼女の脳内は基本的にイケメンの味方でおじさんの敵なので、若干第三者とは視点が違う。

「だからさ、仕事以外で暇になるからもっと遊ぼうよ」

彼女は実は3年前と5年前にも、もうホストも夜も辞めるわ! と言っていたので、今回の決意に信憑性があるかというと私もそんなに自信はないのだけど、とりあえず、うん遊ぼう遊ぼうなんて言って、私はレモンサワー、彼女はハイボールを飲み続けた。

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鈴木涼美

すずき・すずみ●1983年東京都生まれ。作家、社会学者。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程修了。大学在学中からキャバクラ嬢として働きだし、20歳でAVデビュー、出演作は80本以上に及ぶ。2009年から日本経済新聞社に勤め、記者となるが、2014年に自主退職。女性、恋愛、セックスに関するエッセイやコラムを多数執筆。
公式Twitter → https://twitter.com/suzumixxx

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