よみタイ

佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

コッテコテのLVボストンバッグで、ひと昔前の野球選手を思い出す

義母の遺品整理をしていて発見し、思わず笑ってしまったものがある。
ひと昔前のルイ・ヴィトンの、大きなボストンバッグだ。

ストリート派の僕にとって、ルイ・ヴィトンはずっと興味の範囲外のブランドだった。
ご存知のように最近のルイ・ヴィトンはシュプリームとのコラボが有名だし、メンズデザインチームのトップにヒップホップ畑出身のヴァージル・アブローを起用するなど、ストリートとの接近が著しい。
でもなんだかそうした動きもしらじらしく感じ、やっぱりお近づきになりにくいのだ。

それなのに、全面にモノグラムが施された、往年のコッテコテなルイ・ヴィトンのバッグを見て、つい胸が高鳴った。
これ面白い、移動中のプロ野球選手みたいじゃん! と。

「プロ野球選手みたい」といっても、若い子にはピンとこないのかもしれない。
最近の野球選手は、おしゃれでスマートでかっこいいからね。
僕がイメージしたのは、1970年〜80年代くらいのプロ野球選手だ。
その頃の彼らは、びっくりするくらいダサかった。

完全にそのスジの人にしか見えなかった広島東洋カープの選手たち

パンチパーマに開襟シャツ。白いスーツに派手な金属バックルのベルト。ティアドロップサングラスに喜平のぶっといゴールドネックレス……。
きわめつけは成金色全開の、ルイ・ヴィトン、モノグラムボストンバッグである。
もうね、ヤ〇ザにしか見えなかった。
それも、「本当にこんなやついる?」というステレオタイプの。

特にひどかったのはその道の本場である広島の選手だ。

鉄人・衣笠は完全にリアルにしか見えなかったし、選手が揃って遠征先に乗り込む姿なんて、カチ〇ミ以外の何物でもなかった。
カープ女子が流行ったときは、「隔世の感」という言葉は、こんなときに使うんだなと思ったものだ。
だって一昔前だったらカープ女子とはつまり≒ゴク〇マたちなわけですから。
……僕はプロ野球、というか観戦系スポーツ全般に対して愛情がないので好き勝手言っているから……どうかそこは大目にみてくださいね。

そう考えると、スタイリッシュな最近の野球選手は素晴らしいと思う(棒)。

で、この衣笠バッグ。いつどこで、どんな風に活用しようかと思案中だ。
シャレだとわかってもらえる場面でしか使えないので、なかなか出番は来そうにない。

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント

関連記事

よみタイ新着記事

新着をもっと見る

佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

週間ランキング 今読まれているホットな記事