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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

大人の男を虜にする、素晴らしい造形の動物フィギュア

動物フィギュアというと、日本のお家芸のような感覚がある。
かつて、海洋堂の動物フィギュアが大流行したことがあった。もともとそういうものが好きだった僕は、チョコエッグを食べまくり、ガチャをガチャガチャしまくり、必死になって買いあさった。

集めたフィギュアは会社のデスク周りといい、家の本棚の空きスペースといい、大量に並べ、ほれぼれと眺めていたものだ。
そういえば当時は30代前半。急に体重が増えた時期だったが、いま考えればその要因のひとつは、チョコエッグだったのか。

あれから幾星霜。集めたフィギュアたちはどうしているかというと……。
一時はダンボール箱に入れてしまい込んでいたが、「断捨離」という言葉が頭に浮かぶたび、俎上に上がった。
でも改めて見てみると、その精巧なつくりはやはり素晴らしく、「棄てられないゼ」と再び段ボール箱にぐっと押し込む。
そうした行為を何度も繰り返したすえ、「やっぱりサヨナラだね」と涙ながらにゴミ箱へ突っ込んでしまったのである。

捨ててしまったフィギュアが忘れられないから、もう二度と捨てまいと誓うのだ

今は亡き海洋堂以外にも、大事にしている動物フィギュアがある。
ひとつはドイツのメーカー、シュライヒ社のそれ。
1935年に操業され、世界50カ国で展開するシュライヒの動物フィギュアは、海洋堂のものと負けず劣らず素晴らしい。
日本と同様に変態的な緻密さを好む、ドイツ人気質がよく出ている。

シュライヒの面白い点は、牧畜文化のヨーロッパものであるためか、牛や羊、馬といった家畜系が充実していて、日本ではほとんど知られていないマニアックな品種のものがラインナップされている点だ。

そしてもうひとつ僕が推したいのは、豆粒ほどの極小サイズの動物フィギュア。
アメリカのサファリという会社のものだ。
フィギュアはサイズが小さくなればなるほど、細部のつくりや彩色に粗さが目立つようになるが、サファリ社のものはキレキレでよくできている。

難点は小さすぎてすぐになくなること。
僕のサファリ製フィギュアも、買ったはずのゾウとキリンとワニが見当たらない。すでに掃除機で吸ってしまったか、いまも家の隅っこに埃まみれで存在しているのかもしれない。

年々増える動物フィギュア。
そのうち綺麗にディスプレイし、フィギュア動物園をつくりたいと思っている。
でもいまのところ家の中がゴチャゴチャすぎて、そんな余裕はまったくない。

僕に断捨離は無理だ。
海洋堂のフィギュアを捨ててしまったことも、悔やむばかりなのである。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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