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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

あおり野郎やバッドマナーなドライバーへ、真剣に言いたいことがある

15年ほど前。
横浜で大迷惑な運転をする車を追い越しざま、「どんなヤツだ?」と、うっかり覗き込むように見てしまった。
すると、その後、猛烈にあおられたあげく信号待ちでドアを開けられ、「ガンつけやがって」といきなり殴られた。
パンチはまったく効かなかったが、大事なメガネを路上に弾き飛ばされて焦った僕は、「メガネメガネ」と、横山やすしかのび太くんのような状態に。
情けない僕の姿を見て男は気が済んだのか、その隙に走り去ってしまった。
憤懣やるかたなしだったが、ナンバーも車種もわからなかったので、泣き寝入りするしかなかった。

一昨年。
河口湖畔の細い道を大きくふさぐ形で駐車している車がいた。横では薹が立ったヤンキー風カップルが、富士山を背景に自撮りしている。
先に進むには、こちらが大きな水溜りのある未舗装の路肩に乗り出して走行しなければならない。
そこで軽くクラクションを鳴らして窓から顔を出し、「すみません。通れないから、少し先の広いところに止めてもらえませんか」と声をかけたらキレられた。
「いま写真撮ってんだろうが! この野郎!」とわめきながら突進してくる男は、歯がボロボロで口の端からヨダレが垂れていた。
妻と子も同乗しているし、こりゃやべえと判断した僕は、速やかに窓とドアを完全ロックした上で、路肩を走って逃げたのだが、後ろからはずっと怒鳴り声が追いかけてきた。

日本全国のオン・ザ・ロードには、一定量わけのわからないのが混ざっているので、気をつけなきゃいけない。

“民度が知れる”日本の悪質ドライバーは、今からでも遅くないので猛省すべし!

こういう完全に頭がおかしな人ではなくても、日本のドライバーは決してマナーがいいとは言えない。

アメリカやヨーロッパをレンタカーで走っていると、車線変更の合図をすればすっと速度を下げて入れてくれる人が多いのに、日本だとウインカーを出した途端、親の仇のように車間距離を詰めて、入れまいとする人が多い。

対・歩行者マナーもひどい。
信号のない横断歩道に歩行者が立っていたら、必ず停車しなければならないはずなのに、このルールはほとんど守られていない。
信号のない横断歩道が前方にある場合、注意喚起のために道路上にはひし形が二つ連続で描かれている。このマークを理解しているドライバーも少ないと思う。

免許の更新時講習は眠くなるような話ばかりだけど、前回の講習でひとつだけ記憶に残る話があった。

教官曰く「車を運転しているときは、横断歩道に歩行者がいたら必ず止まる。これは法令なので当たり前です。そして歩行者の立場のとき、止まってくれた車のドライバーにはアイコンタクトをして、『ありがとう』と会釈しながら渡りましょう。するとドライバーは気分が良くなり、次もまた止まろうと思うようになります」と。

なるほど、と思った。
人間同士なんだから、そういうコミュニケーションこそが大事だよなと。
それからの僕は横断歩道で、止まらない車の多さに内心イライラしていても、止まってくれた車のドライバーには、必ず会釈をするようにしている。

なんだよマジメか!? という話ですが、そうです、いたって真剣なのです。

だって、こんなに運転マナーが悪い国、恥ずかしいよ。
差別主義者がよく使うイヤな言葉であえて表現するなら、それこそ“民度が知れる”というものだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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