2019.12.12
1滴たりとも残したくない濃厚蟹みそソース! あまりの美味にファンが悶絶〜シンシア〜
あれはもう何年前のことだろう。
渋谷の松濤に佇む「バカール」という小さなフランス料理店に行っていたのは。
フランス三つ星仕込みの石井真介シェフによる正当だけど斬新で美しい料理、トークが楽しいソムリエの選ぶワインも秀逸、それがコース6,000円ですもの、本気で予約が取れない。
当時はネット予約なんてなかったから電話をかけるしかなくて本当に大変だったけど、それでも行きたかった。
それだけ魅力的だったのです。
正統派な味だけどちょっぴり斬新に仕立てた料理に、気さくなサービスと気軽に通える価格で、肩ひじを張ってしまいがちのフランス料理がすごく身近に感じられるようになったし、フランス料理の存在を大きく変えたお店のひとつでした。
かなり必死で予約を取り、名前を覚えてもらった頃、突然長期休業に。
あまりにショックで、その間はバカールの公式通販で「バーニャカウダ」を購入したり、レストラン休業中も店頭でだけ販売が続けられていた名物のブリオッシュを午前中から並んで買ったり、整理番号をもらって「松濤スフレ」を食べたりして、“バカールロス”をしのいでいたなぁ。
一度復活はしたけど、結局、閉店してしまったのです。
それから1年ほど経ったある日、SNSで石井さんが「シンシア」というお店を北参道にオープンすると知り、いてもたってもいられずプレオープンに駆けつけました。
この日を待ちわびていた人たちがわんさか訪れ、オープン前から予約困難というものすごいお店の誕生を目の当たりにしたのです。
オープン当時の「シンシアコース」にはバカールの料理がいくつか入っていたのですが、その後すぐに「バカールコース」「シンシアコース」「オートクチュールコース」の3本立てとなりました。
来店していた多くはバカールのファン、だからバカールの料理を出すことがお客さまに喜んでもらえることだと石井さんは考えたそう。
でも、新しい石井さんの料理を期待した人もたくさんいることがわかった。
悩んだ結果、バカールを封印してシンシアの料理を確立することにしたのだそうです。