2019.8.1
台東区佐竹商店街に口コミだけで予約が取れないフレンチ出現 〜K.H. DOWNTOWN CUISINE〜
ものすごいお店ができたのでご一緒しましょう、とお誘いいただき、2018年の12月に訪れたのが、長谷川幸太郎オーナーシェフの「K.H. DOWNTOWN CUISINE」でした。
初めて降りた新御徒町駅、下町らしさいっぱいの商店街は、失礼ながら申し上げるとフランス料理が成功するとは思えない街並かと。
ところが!
まだプレオープン中でしたが、「今日はなんでダメなの? じゃ、明日は?」「あなた長谷川さんとこの息子さんでしょ」と、通りがかりの“おばちゃん”たちが、まぁ、来るわ来るわ。なんて地元に愛されているのだろうと思いました。
しかも長谷川さんったら告知も宣伝もせず、ひっそりとプレオープンしちゃったので、ギョーカイ人もグルメさんも、長谷川さんとかなり近しい人だけがこの名店に訪れることができ、その人たちは当然のことながら次の予約を取って帰り、さらに地元のみなさまの応援も相まって、グランドオープンの4月にはすでに予約を受け付ける2ヶ月先まで満席状態になっていたというワケ。
なぜ、そんな状況に? と思うかもしれませんが、経歴をみれば必然ですので簡単にご説明しましょう。
長谷川さんの料理人生は小学生の頃、病床の母親に代わって料理をしたことで始まりました。
自分で作る楽しさはやがて“好き”に変わり、高校受験時に母親が他界したことで、料理人として生きることを決意。するとたまたま近所の人が「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」の総料理長で、その人に導かれ16歳でパティシエとして勤務。4年後には同ホテルのメインダイニング「ザ・サミット」に迎えられる。
「カーエム」「銀座レカン」などで修業し、渡仏。3年半、星付きレストランで研鑽を積み、モンペリエの三つ星「ル・ジャルダン・デ・サンス」ではシェフの右腕とまでなったのです。
その縁で帰京後は「サンス・エ・サヴール」「ラ・フェットひらまつ」で料理長として腕をふるい、「ボキューズ・ドール国際コンクール」で日本人として初の入賞を果たすなど、長谷川さんの料理人生はキラッキラに輝きました。そのキャリアを手に、いよいよ自身の店を持つことにしたのです。