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ザリガニが飼育禁止に!? 人も在来種も、外来種さえも不幸にする「外来生物問題」を考える

当然、海の向こうでは、日本原産の生物が海外で悪影響を及ぼしてしまっているケースもあります。

例えば、ワカメが海外で殖えてその土地の生物と競合したり、最近ではオオスズメバチがアメリカで猛威をふるったりして(ハチ毒の危険性についてはこちら)問題となっています。

また、ニュージーランドでは日本から輸出された車1万台以上を積んだ貨物船からクサギカメムシ(洗濯物にもよくついている、黒っぽいカメムシ。果樹などの農業害虫でもある)が見つかり、ニュージーランド政府が日本側にカメムシ防除徹底を要求する事態になりました。

一旦、定着してしまうと駆除には、たくさんの時間やお金がかかります
連れてこられた生き物にとっても、人間にとっても不幸な話です。

すべての生き物は地球生態系のインフラ

この手の話をすると、「どの生物を飼育したり、捕獲したりしていいのかわからない。区別がつかない」と言われることがよくあります。

その気持ちはよくわかるからこそ、このまま、色んな意味での“生き物とのふれあい”が、アンタッチャブルになってゆく世の中にならなければいいなといつも懸念しています。
環境や社会のルールを守ろうとするあまり動物との関わり自体を避けてしまうと、地球生態系のインフラたる生き物たちに対しての興味や知識も広がっていかないからです。

みなさんにはぜひ積極的に生物と関わる機会を持っていただきたいと思いますが、野外での観察会やペットショップでの購入に際しては、事前に対象生物についてよく調べること。できることなら、専門家や生物に詳しい人でかつ信頼できる方との同行が望ましいでしょう。

残念ながら、例えば外国産ダンゴムシ類など、植物防疫法によって輸入不可であるもの(博物館などをのぞき国内にいること事態がおかしい)が堂々と売られていることもあるからです。

最後に、何かしらの規制がかかっている生物のデータベースを紹介しますので、参考にしてみてください。

●外来種対策についての参考サイトと規制生物のリスト
日本の外来種対策(環境省ホームページ、外来生物法に関するQ&Aなど)
環境省レッドリスト(保全対象種)
特定外来生物等一覧
生態系被害防止外来種リスト
植物防疫法で規制される種のデータベース(ホワイトリスト方式であることに注意。規制無は輸入可、規制有は輸入不可。検索にかからないものは未判定なのでやはり輸入不可)

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新刊紹介

大渕希郷

おおぶち・まさと●どうぶつ科学コミュニケーター
1982年神戸市生まれ。京都大学大学院博士課程動物学専攻、単位取得退学。その後、上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館:科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教(日本モンキーセンター・学芸員 兼任)を経て、2018年1月に独立。生物にまつわる社会問題を科学分野と市民をつなげて解決に導く「どうぶつ科学コミュニケーター」として活動中。
夢は、今までにない科学的な動物園を造ること。特技はトカゲ釣り。
著書に『新ポケット版 学研の図鑑絶滅危機動物』『新ポケット版 学研の図鑑 爬虫類・両生類』(いずれも学研教育出版)、『絶滅危惧種 救出裁判ファイル』『動物進化ミステリーファイル』(いずれも実業之日本社)、『どうぶつ恋愛図鑑』『へんななまえのいきもの事典』(いずれも東京書店)など。最近は、「こども環境地球儀ハトホル」(渡辺教材教具)など教材開発にも関わる。愛称はぶっちー。
公式ホームページ: http://m-ohbuchi.com/

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