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大渕希郷「動物ふしぎ観察記」

レンタル料は約1億円! 超高額&省エネ動物のパンダが日本にいる理由

そもそも皆さんが「パンダ」と呼んでいる動物は正確には「ジャイアントパンダ」のこと。
もともとは、パンダといえばレッサーパンダを指していました。しかし、後にジャイアントパンダが発見され、パンダといえば、あの白黒の生き物の方がイメージされるようになっていったのです。
本稿においてもパンダ=ジャイアントパンダとして話を進めます。

パンダの学名は「Ailuropoda melanoleuca」。直訳すると、「猫のような足をした白と黒の動物」という意味です。
学名に白黒が入るほど、パンダの特徴といえばあの体毛の配色。
この理由については諸説あり、まだ完全な解明には至っていません。

説1:カムフラージュ

研究者の間でもっとも一般的に言われてきたのが「カムフラージュ説」です
身体の白い部分は雪に同化し、黒い部分は木の影になる。パンダの生息地域である深い竹林や、雪に覆われた山林で外敵から身を隠すことができるという説です。
しかし現在、この説には疑問視する声も出てきています。
あの姿は森の中では異質で、果たして本当にカムフラージュになっているのか疑わしいこと。そして、そもそもパンダの生息地域に天敵らしい天敵は存在せず、稀に弱ったパンダや子パンダがゴールデンキャットに襲われるくらいであることが、その理由です。

説2:威嚇やアピール(コミュニケーション)

「いや! カムフラージュじゃない、逆だ! 目立つためだ」という説も浮上してきました。
目の黒い部分は強さの象徴で他の個体を威嚇したり、繁殖期に相手へのアピールになったりしているのではという考えです。
目や耳など目立つところが黒いことから、パンダ同士の個体間の識別やコミュニケーションの役に立っているのでは、ともいわれます。

意外と正しく記憶している人が少ない、パンダの体の黒い部分と白い部分。(イラスト/大渕希郷)
意外と正しく記憶している人が少ない、パンダの体の黒い部分と白い部分。(イラスト/大渕希郷)

説3:冷え対策

他には「冷え対策説」なるものもあります。
冷えやすい部分である耳、目、肩、後ろ足、前足が黒くなっていることから、ここに太陽の光を吸収させて保護しているのではないか、という考えです。
しかし、個人的に私はこの説には懐疑的です。間違って記憶されている方も多いのですが、パンダの尻尾は白。末端が冷えて困るなら尻尾も黒くないとおかしいのでは? と思います。

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大渕希郷

おおぶち・まさと●どうぶつ科学コミュニケーター
1982年神戸市生まれ。京都大学大学院博士課程動物学専攻、単位取得退学。その後、上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館:科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教(日本モンキーセンター・学芸員 兼任)を経て、2018年1月に独立。生物にまつわる社会問題を科学分野と市民をつなげて解決に導く「どうぶつ科学コミュニケーター」として活動中。
夢は、今までにない科学的な動物園を造ること。特技はトカゲ釣り。
著書に『新ポケット版 学研の図鑑絶滅危機動物』『新ポケット版 学研の図鑑 爬虫類・両生類』(いずれも学研教育出版)、『絶滅危惧種 救出裁判ファイル』『動物進化ミステリーファイル』(いずれも実業之日本社)、『どうぶつ恋愛図鑑』『へんななまえのいきもの事典』(いずれも東京書店)など。最近は、「こども環境地球儀ハトホル」(渡辺教材教具)など教材開発にも関わる。愛称はぶっちー。
公式ホームページ: http://m-ohbuchi.com/

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