2019.9.8
自分と人を信じ抜く力があるから、ソフトバンク和田毅は試練に強い!
プロでの活躍と長いキャリアを経ても、聞く耳を持つ大切さを忘れない。
あの投球フォーム改造から20年。
様々な栄光を手にしても、誰よりも努力しようとする姿は変わらない。土橋トレーナーとの出会いのように、誰よりも聞く耳を持とうとすることを忘れない。
昨年、春季キャンプで左肩に違和感を覚え、一軍から離れた。初めて痛める箇所、骨がぶつかるような感覚だった。チームのトレーナー、スタッフと相談しながらリハビリメニューをこなした。あらゆる治療も試した。それでもなかなかうまくいかない。秋からは血小板を使用して組織の修復、再生を促すPRP療法に踏み切った。一軍での登板はゼロに終わったものの、復帰を信じてやみくもに懸命に取り組む姿勢が快方に導いていく。いろんな人の意見や情報をもらいながら、彼は投手生命の危機を脱したのだった。
今年の6月23日、セパ交流戦天王山。和田は先発のマウンドに登った。巨人を5回1失点に抑える力投。伸びのあるストレートは健在だ。交流戦優勝が651日ぶりの勝ち星となった。
和田は言う。
「正直、何かのおかげで(肩が)治ったというよりはやってきた全部のおかげ。(メンタル的に)波はありましたけど、ケガの途中は“もう治らないな”とあきらめるんじゃなくて、“だったら次は何をやればいいだろう”っていう考え方でした。トレーナーさんにも『次は何をやればいいかな?』とかしょっちゅう聞いていたんで、すごく悩ませていたのかもしれない。一理あるなと思ったものは、すべて取り入れてやっていましたから」
立ち止まるのではなく、走る。閉ざすのではなく、開く。
ケガとの戦いでも彼は前向きに思考を走らせようとした。前向きに周りとコミュニケーションを取ろうとした。やるなら徹底的に――。
和田毅は試練に強い。
自分を、人を、信じるから強い。
(第2回に続く)
profile
わだ・つよし/1981年2月21日生まれ、島根県出身。福岡ソフトバンクホークス所属。
浜田高校から早稲田大学に進学。4年次にはエースとして52年ぶりの春秋連覇達成に貢献。2003年、福岡ダイエーホークスに入団するや14勝で新人王の活躍、日本シリーズでは新人ながら胴上げ投手に。12年海外FA権行使し、ボルチモア・オリオールズに移籍。16年より福岡ソフトバンクホークス復帰。6年ぶりの最多勝利と最高勝率を鮮烈な復帰を飾る。
日本での通算記録は、130勝69敗。防御率3.13。(2019年9月3日現在)
その他最新情報は球団公式サイトでチェック! ◆https://www.softbankhawks.co.jp/