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【4位】迷路を彷徨する母の赤いハイヒール—40年前の夏、彼女は何を探したか/「犬と本とごはんがあれば 湖畔の読書時間」(村井理子)

(内容紹介)
『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』『黄金州の殺人鬼』など、多くの翻訳を手掛ける翻訳家の村井理子さん。
古今東西の書籍にふれた村井さんは、日々何を読み、何を思い、どう暮らしているのか……。
人気翻訳家によるエッセイ+読書案内。

(イラスト/塩川いづみ)
(イラスト/塩川いづみ)

翻訳家の村井理子さんによる人気連載「犬と本とごはんがあれば」から、第11回「迷路を彷徨する母の赤いハイヒール—40年前の夏、彼女は何を探したか」が4位にランクイン。

今回は、幼少期の村井さんが、いつになく着飾った母親と出かけたある日の出来事について。

 母はそわそわとして、落ち着きがなかった。急ぎ足でハイヒールを鳴らして、どんどん進む。私の手を強く引っぱり、遠慮なしに進む。そして、ずいぶん進んでは、「おかしいなあ」と口にした。ハンドバッグから小さな紙を取り出して、そこに描かれた地図を何度も確認する。不安そうに辺りを見回し、「絶対にこの場所なのに」と繰り返す。そして少し先の角を曲がり、そしてもう一度角を曲がり、少し戻り、また角を曲がっては、同じ公園の前にたどりつくのだ。母は、「また公園……?」と怯えたように言いはじめた。

幼い娘を連れて彷徨う母が、必死に辿り着こうとしていた場所とは果たして……。
エッセイ本編はこちらから

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