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なぜ私は目立つ女子から「排除」されたのか? 第5話 初めてのいじめ

 しかし、今ならカリアちゃんに嫌われるのもわからないでもない。活発で積極的なカリアちゃんにとって、彼女と真逆の私みたいなタイプは初めてで、イラつく存在だったのではないだろうか。当時、私は自分のことを大人しいとかワガママだとか認識していなかったが、彼女に比べれば声も小さく消極的で受け身で、話しかけられるのを待つタイプだったかもしれない。いつも周囲の様子を窺ってもじもじしていて、そのくせやりたいことは自己主張してくるとは、なんとも足手まといな存在である。

 後に思い出したのだが、体育の時間に全員が50メートルを走り終えた後、ふいにカリアちゃんに話しかけられ「そうやって見た目気にしてるからダメなんだって! 気にすんなって」と言われたことがあった。私は走っている時に見た目を気にしていたつもりはなかったので何の話か一瞬わからなかったのだが、カリアちゃんが内股の女の子走りのようなジェスチャーを挟んでいたので、どうやら「走り方を可愛らしく見せる方に意識を向けているから遅いのだ」という意味のようだった。
 この出来事を思い出した時、私はぶりっ子とかわざとナヨナヨしているとか、初めからそういう印象をカリアちゃんに持たれていたのかもしれないと思った。特に低学年の頃の私は、肌が白くて若干小柄でおっとりしていてカリアちゃんとは見た目も中身も正反対であった。子供の頃は自分と全く違う存在というものが理解できないし、同い年の子供が自分と同じじゃないということにイライラする。
 思い返せば私も、カリアちゃんと積極的に関わろうとしなかったのはもともと苦手意識があり、それが表に出ていたのかもしれない。第一、既に面識があったのに席替えまで話しかけてもこなかったというのは、明るく積極的なカリアちゃんにしてみれば無視も同然で失礼なヤツといったところだろう。そう自分なりに分析して、嫌われる理由に目星がついて妙に納得したのだった。

次回は10月18日(水)公開予定です。

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新刊紹介

冬野梅子

漫画家。2019年『マッチングアプリで会った人だろ!』で 「清野とおるエッセイ漫画大賞」期待賞を受賞。その後『普通の人でいいのに!』(モーニング月例賞2020年5月期奨励賞受賞作)が公開されるやいなや、あまりにもリアルな自意識描写がTwitterを中心に話題となり、一大論争を巻き起こした。2022年7月に、派遣社員・菊池あみ子の生き地獄を描いた『まじめな会社員』(講談社)全4巻が完結。
講談社のマンガWEBコミックDAYSにて「スルーロマンス」連載中。

Twitter @umek3o

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