2023.7.19
大人が「かわいい」「かわいくない」で態度を変えることがあるなんて……第3話 トンボ柄の浴衣
よく祐実お姉ちゃんは親戚や彼女の母親、または私の母親から薄着であることを注意されたり、オーバーオールを着ているといちいち「そんな着づらい服」とかツッコミを入れられたりしていたので、どうやら着心地や快適さよりデザインを基準に服を選んでいるらしかった。
そしてそれは、大人たちにしてみるといちいち口出ししたくなるもので、逆に私のようにやぼったい厚着、動きやすいスウェット生地のズボンなどを履いているといい子とみなされ、小言を言われにくいということもわかった。
それと、祐実お姉ちゃんは体型が痩せすぎだとか注意されることもあり、反対に私は健康的で好き嫌いなくよく食べてえらいなどと褒められた。
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しかし、親戚の女性陣に小言を言われて不満そうにしながらも衣服を変えない祐実お姉ちゃんは、身なりを気にするという点で大人びて見えた。
今思えば12、3歳というと服装を気にしたり、体型を気にするのは、女の子であれば普通なのだが、小2程度の私には「お母さんたちに褒められること」の方が重要だったので、祐実お姉ちゃんの反骨精神のようなものがカッコよく見えたのだった。
またある時は、祖母が祐実お姉ちゃんと私に浴衣を縫ってくれたのだが、私はトンボ柄で祐実お姉ちゃんは蝶々柄だった。当時も今もあのトンボ柄の浴衣は大変気に入っており、嫌な気持ちは全くなかった。祐実お姉ちゃんは艶やかな蝶々のイメージにぴったりで、浴衣もとても似合っていた。これは単純に、幼い私には子供らしい柄、少し年上の祐実お姉ちゃんには女の子らしい柄と判断しただけだとは思うが、やはり蝶々というと美しさを連想するし、反対にトンボ柄は庶民的で活発なイメージがある。
祐実お姉ちゃんは蝶々のように美しく可愛い存在、反対に私はブスであると認識するのは小学校3年生くらいのことである。
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