2020.12.8
文化部系顔アスリート・田中希実は東京五輪をどのように書き残すだろうか 〜田中希実(陸上選手)
人の顔には体育会系と文化部系があるような気がする
ひとの顔を見ていると、何となく「体育会系顔」と「文化部系顔」に分けられるような気がしないだろうか。
日に焼けているとか、筋骨隆々であるとか、身体面での「いかにも体育会系」というのとは少し違う。もちろん「体育会系っぽい顔」と思った人が実は何もスポーツをやっていない、或いはその逆のケースもあるので、あくまでも個人的な印象の話である。
その上で私の勝手な意見を言わせてもらうと、いま一番「文化部系顔」のアスリートは、女子陸上・中長距離の田中希実だと思う。濃い眉に黒目勝ちな大きな瞳、黒髪をキュッと後ろで結んだ姿は、清楚でおっとりとした佇まいである。どことなく、ドラマ『人間・失格』に出演していた頃あたりの黒田勇樹にも似ている。
先日、陸上長距離種目の日本選手権で東京五輪代表内定を決めた選手たちが会見を行ったが、身長178㎝の相澤晃(男子10000m)、165㎝の新谷仁美(女子10000m)の間に挟まれた153㎝の田中は、いっそう華奢に見えた。田中は現在21歳であるが、その姿はまるで高校生にも見え、アスリートというより西陽の差す図書館で本を読みふける文芸部の部長、といった雰囲気を感じてしまった。
しかし経歴を見てみれば、田中はバリバリの「体育会系」である。
両親ともに陸上選手の家に生まれ、中2の時から全国女子駅伝に出場。その後も数多くの大会に出場し、今年に入ってから女子3000m、1500mの日本新記録を樹立した。前述したように、田中は去る12月4日に行われた陸上長距離種目の日本選手権において、女子5000mで一学年下のライバル・廣中璃梨花を破って優勝し、東京五輪の出場内定を獲得した。日本でもトップクラスのアスリートだ。そのような田中に「文化部系顔」と言うのは失礼な話かも知れない。コーチである父のもと、厳しいトレーニングを積んできたからこその現在だろうからだ。