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100万円の時計より1万人のフォロワー――今の若者のお金の使い方

もちろん「高いお肉が食べたい!」のような願望はきっとまだ、誰にでもあります。
でも「1枚数千円のお肉なんて食べられないから、家で親しい人とそれなりのお肉を美味しく食べている人の真似をしよう」と考える。
その流れで、憧れの対象が「家で親しい人と楽しく美味しく普通のお肉を食べている人」になったのではないかと。

若者にお金がなくなってきていることで、憧れの対象が変わり、「良い」と思う消費の仕方も変化しているということです。

加えて、技術の進歩も理由のひとつではないでしょうか。

ブランドの時計なんかがいい例です。
昔は高い対価を支払わなければ、品質の良い物が手に入らなかった。
でも、今は安くて良い物はたくさんあります。
きっと細かい部分ではいろいろ差があるのだと思いますが、僕らが日常で使うくらいなら、安いもので充分。

「安い物でも質がいいのに、なんでわざわざ高いブランド物を買うの? バカみたい」と思う人が出てくるのは当然の流れじゃないかなと。

僕らの欲のゴールはロレックスじゃない

もちろん今の若者にも「すごいと思われたい」という気持ちを持っていて、そのためにお金を使う人はたくさんいます。
けれど、その「すごい像」もまた昔とは違うんですよね。

僕らの世代でいちばん力を持つ数字は「フォロワー数」。

持ち物の値段や収入の値ではありません。
もちろん全員がそうだというわけではありませんが、昔の
「いい時計をつけている」
「いい車を持っている」
と同種の力を持っているのは、フォロワー数や「いいね」の数ではないかと。

お金を稼いで、海外に行って、インスタ映えする写真をUPして、「いいね」をもらうところまでがセットです。それを「寂しい」という上の世代の声もわかります。
経験を買っているはずなのに、写真が目的になっているのは少し残念だと思う気持ちもわかります。
けれど、それで頑張れるならそれでいいと思うんですよね。

僕らは100万円の時計より1万人のフォロワーのほうが、価値があると思える世代です。
小学生のなりたい職業にYouTuberが入る時代です。
「登録者数10万人!」に価値を感じるのは当たり前。
100万円の時計に「いいね」がつかないのなら、必要ないと思う人もいるでしょう。

逆に、「あいつ自慢しやがって」と反感を買うくらいなら、ほしくないという人もいるでしょう。

つまり、「若者が贅沢をしなくなった」わけではなく、「良いと思える消費対象が変わった」だけ。

だって、インスタ映えするスポットには、若者の列ができているじゃないですか。

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金内柊真

かねうち・とうま●1996年大阪府出身。東京総合美容専門学校卒業後、
2017年よりヘアサロン「ALBUM」に入社し、現在は新宿店勤務。Twitterから発信する熱いつぶやきが多くの共感を集め、2018年8月に初の著書「才能が無ければその分努力すればいい」を刊行。2018年10月現在、Twitterでは約13万、Instagramでも約8万のフォロワーを持つ。

Twitter●https://twitter.com/Kaneuchi_Toma
Instagram●https://www.instagram.com/Kaneuchi_Toma/

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