よみタイ

鈴木涼美「○○○な女~オンナはそれを我慢している」
よみタイでの大好評連載「アラサー女がそんなことで喜ぶと思うなよ」(書籍好評発売中)を終えた鈴木涼美の次なるフェーズは、オンナ目線の女性論。ふと見渡せば、耳に目につく、いろんなタイプ・○○○な女たち。女の敵は女じゃないけど、ちょっとどうなの、それでいいの、な現代女性像を浮き彫りに。

聞かない女〜男への平和的質問の手法なんてある? の話

MAXが「どんなふうにどれくらいにワタシのこと想ってる?」と歌ったのは1999年でその頃の私は同曲をパラパラの新作とともに口ずさんでいたのだけど、ちょうど同じ年に宇多田ヒカルは「I hope that I have a place in your heart too」と歌っていて、その二つを組み合わせると大体控えめな女の聞きたいことは完成する、と当時も思っていたし今も思っている。

いや、別にそんな長ったらしい歌詞を引用して思いっきり世代感丸出しにするまでもなく、基本的に女の疑問は「私のこと好き?」なのだけど、男ってずるいからそう聞いたところで大体「好き」と言ってくるわけで、そうなるとこちらも追加注文をしたくなるわけです。

だって詰問レベルで聞いて詰めたら基本的に男は嫌がるでしょ

「すみませんがその好きってどういう系の好きで、ボリューム的にはどのくらいになるんでしょうか? 私は結構、っていうかかなり好きなんですけど、で、できれば付き合いたいとかやり直したいとかいうレベルで好きで、あなたとちゃんと彼氏彼女になってちゃんと誠実でいてくれるなら他の男は全部切ってもいいって思うんですけど、あなたもそういう感じなんでしょうか? それとも、こちらも好きだしあちらも好きだし選べないっていう割と次元が低い好きなんでしょうか? あ、もちろん前者であってほしいと思ってるんですけどね、私はそうなわけだし。ただ、やっぱり男と女って違いますし、あなたの態度ってちょっとどっちつかずというか思わせぶりというか、明らかに好意がありそうじゃないですか。かといって確信的なことは聞いたり言ったりしてこないじゃないですか。いったい私のことをどんな存在だと認識していて、私とどういった関係を結びたいんですか?」
とかね。

で、もちろん私みたいな脂ののった偉そうなオバサンがそんな風に詰問調で話しかけたら、もはや島耕作とかジェームズ・ボンドでもドン引きするのはよくわかっているし、ぶっちゃけこれが私みたいなアレじゃなくて全然可愛くて若くてふくらはぎの綺麗な女だったとしても、このレベルで詰めたら基本的に男は嫌がる。

だからマックスみたいないい女でも直接聞かずに歌っていたわけで、ほんとはこれをパッと出してさっさと答えてもらったら話は早いんだけど、良識と自意識が発達した女ほどこういったことを聞かずにためて、それが不安となったり不満となったりして少女漫画やラブソングが紡がれている。

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鈴木涼美

すずき・すずみ●1983年東京都生まれ。作家、社会学者。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程修了。大学在学中からキャバクラ嬢として働きだし、20歳でAVデビュー、出演作は80本以上に及ぶ。2009年から日本経済新聞社に勤め、記者となるが、2014年に自主退職。女性、恋愛、セックスに関するエッセイやコラムを多数執筆。
公式Twitter → https://twitter.com/suzumixxx

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