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タモリは面白いけど、ガダルカナル・タカは…?「タモリ倶楽部」に出演してわかったこと【平成しくじり男 第10回】

ガダルカナル・タカの凄さ

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収録は意外と短く30分ほどで終わった。きっと盛り上がったから短時間で終われたのだと思った。手前味噌で恐縮だが、僕が発言するたびに現場には大きな笑いが生まれた。テレビの収録のことを全く知らない僕でも、明らかに撮れ高があったと思えるような時間だった。

​家に帰ってからも、しばらく興奮は冷めやらなかった。お風呂に浸かってゆっくりしながら、何度も何度も収録のことを振り返った。初めてのテレビ収録で、爆笑をかっさらうことができたのだ。忖度をしないタモリさんのことをも笑わすことができた。ひょっとしたら自分には、トークの才能があるんじゃないか?

どうして笑いをとることができたのだろうかと、冷静に分析を試みる。しかしいくら考えても、自分のなかに何か特別な策があったわけではなかった。収録時の感覚を思い出してみると、緊張に飲まれそうになりながら、自らに降りかかってくる質問のひとつひとつになんとか言葉を返していただけだった。言葉を返しさえすれば自動的に笑いが生まれる、そんな不思議な感覚があった。そこまで考えたところで、あるひとつの仮説が脳裏に浮かび上がってきた。

──もしかしたら僕は、ガダルカナル・タカさんが用意してくれた答えやすい質問に、ただ答えていただけなのではないか…?

   *

収録から2か月後。出演した「タモリ倶楽部」がテレビでオンエアされた。僕はリアルタイムで番組を見ている人がSNSで感想を呟いているのを眺めながら、オンエアを見ていた。

タモリさんがデリヘルのネタで楽しそうに笑っているだけで視聴者は沸いていたし、ケンドーコバヤシさんの「和牛と同じシステムですね」というコメントはSNS上でも爆笑を生んでいた。プレゼンをしている自分も「素人なのに面白い奴」として称賛されていた。しかし映像を注意深く見ると、やはり僕はガダルカナル・タカさんの質問に一問一答のようにただ答えているだけだった。それだけで、たくさんの笑いが起こっていたのだ。

オンエアを見終わってしばらく、今さらながら気づけたガダルカナル・タカさんの手腕に唖然としていた。テレビ収録のイロハも知らない素人の25歳の若蔵に、答えるだけで笑いが起こるような質問を投げ続けることで、短時間の収録で番組を成立させてしまっていたのだ。「テレビでよく見かけはするけど、どうしてテレビに出ているのかよくわからないタレント」と、ガダルカナル・タカさんのことを認識していた自分のことを恥ずかしく思った。

同時に、そうした認識でいたのは仕方のないことだとも思った。ガダルカナル・タカさんの凄さは、番組を見ているだけだとわかりづらいのだ。現にSNS上では、タモリさんや、ケンドーコバヤシさんや、僕のことを面白いと称賛するコメントはあれど、ガダルカナル・タカさんを称賛するコメントはひとつもなかった。しかし実際に収録に参加した感覚としては、自分が面白い素人として輝けたのは、どう考えてもガダルカナル・タカさんのおかげだったのだ。

そのことに気づかされてからというもの、バラエティ番組にガダルカナル・タカさんが映っていると、ついその姿を目で追ってしまう。共演させてもらってから8年が経った今でも、相変わらずガダルカナル・タカさん自身の言動で腹を抱えて笑ったことはないけれど、画面のなかの誰かの言動で爆笑するとき、そこに至るまでの道筋にガダルカナル・タカさんの存在があることの多さに驚かされるのだ。

(了)

 次回連載第11回は6/18(木)公開予定です。

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新刊紹介

山下素童

1992年生まれ。現在は無職。著書に『昼休み、またピンクサロンに走り出していた』『彼女が僕としたセックスは動画の中と完全に同じだった』。

X(旧Twitter)@sirotodotei

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