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鈴木涼美「○○○な女~オンナはそれを我慢している」

変わり者でいたい女〜若いうちから負けない戦い方はどうなの?って話

そしてもちろん、そういうことに気づくまさにその瞬間というのは結構痛みを伴うものであって、自分にも周囲の友人にも意中の男にも大変なご迷惑をかけながら、人は大人になっていく。

ちょっと変わっていますという態度と、恋愛ってそんなに興味ないですなんていう態度は、そういった泥臭い試合を少し斜めから放棄するような、それもまた若さにまみれた行為にも思える。

私たちが今大人になってきている理由

終電を理由に若い彼女が帰ったのち、彼女を呼んだ男は「ね?面白い子でしょ?」なんて無邪気に同意を求めてきたが、それに軽々しく同意したのはもう一人いた男だけで、おばさんたちは苦笑いしながら、付き合うとかいう事態になったら結構めんどくさいぜ、と再び遠い目をしていた。

私たちが今、あんまり面倒臭い自己主張を撒き散らかさずにおとなしく座っていられるのは、彼らが視界の端の方でくすぶっていた頃、今の彼らくらいの歳の男に泣きついて愚痴って嫌われて大人になってきたからであることは特に口に出さずに。

年が明けて一ヶ月ほど経って、その時いたおばさん三人でシンプルで美味しい焼き鳥を食べながら男の話とボトックスの話をしていると、あの時にちょっと変わった若い女を連れていた男からグループにラインが入った。

「◯子ちゃんとあの後何回か食事に行って、この間北海道に一泊で行ったんだけどさ、たまたま昔元カノと北海道行ったっていう話になったら急に怒り出して帰るとか騒いで、なんか元カノがいたのが嫌なんじゃなくて、元カノがつまんない女で、そんな女と同じような場所に連れてきたのが嫌なんだって。つまんない女だから別に嫉妬はしてないんだって。面倒だから特に止めなかったらほんとに帰りやがった」

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鈴木涼美

すずき・すずみ●1983年東京都生まれ。作家、社会学者。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程修了。大学在学中にキャバクラ嬢として働くなど多彩な経験ののち、卒業後は2009年から日本経済新聞社に勤め、記者となるが、2014年に自主退職。女性、恋愛、世相に関するエッセイやコラムを多数執筆。
近著に『女がそんなことで喜ぶと思うなよ 愚男愚女愛憎世間今昔絵巻』など
公式Twitter @Suzumixxx

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