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肉バカがたどり着いた究極の焼肉「会長コース」とはいったい何なのか?(後編)

年間200食もの牛肉を食べるという、名実ともに肉バカ、小池克臣が日々蓄えてきた肉への愛、知識、体験……そのすべてを注ぎ込む究極の肉コラムがここに。肉好きはもちろん、そうでなくても知っておくべき肉のあれこれが満載!

前回は会長コースの前編としてサーロインと黒タンを紹介したが、今回はその後半部分を披露したい。

焼きまくった肉バカがどんなところにたどり着いたのか……その全てを明かしたい。

絹糸のような繊細さを味わうシャトーブリアン

高級な肉の部位の代名詞といえば、シャトーブリアン。

ヒレは肋骨の内側に付いている筋肉で、基本的にはそれほど動くことがないため、柔らかな食感とあっさりとした赤身の旨味があるのが特徴だ。

そのヒレの真ん中部分をシャトーブリアンという。

その味わいに加えて希少性から、牛肉の中でも最高級の部位だ。

普段はヒレを仕入れない、しみずだが、大人数である程度食べるという前提でお願いして、ヒレを仕入れてもらうことがある。

そうして入ったシャトーブリアンは贅沢に8~10センチの厚みでカットしてもらう。

通常の七輪とは別に、炭の量を減らし網の位置を高くした特注の七輪でじっくりと30分ほどかけて焼いていく。

シャトーブリアンを強火で焼くと、最大の特徴である繊細な食感を極限まで味わうことが出来ないため、じわじわと弱火で焼かなくてはならない。

焼き上がって切り分けたときの断面がキレイな赤いビロード色に輝けば、パーフェクトな火入れの証。

このシャトーブリアンを食べると「柔らかい!」と驚く方も多いが、はっきり言ってシャトーブリアンであれば柔らかいのは当たり前。

ある程度の牛のシャトーブリアンであれば、どこで食べても柔らかいものだ。

では、しみずや高級ステーキ店のシャトーブリアンは何が違うのか!?

それは香りと旨味

シャトーブリアンは他の部位に比べると淡白な味わいなのだが、そんなシャトーブリアンでさえ、肉本来の旨味が溢れているものこそが極上といえるのだ。

それがしみずでは食べられる。

野性味溢れるハラミ

ハラミは薄切りも美味しいが厚切りも美味しい

会長コースで塩で食べる厚切りにすることが多い。

圧倒的な仕入れ力で集まったハラミは臭みなど微塵もなく、むしろ甘みさえ感じられる。
レアではなく、あえてウェルダンに火を入れることで、旨味が凝縮し、脳まで響く味わいを生み出す。

棒状のハラミは出来るだけ3口で食べて欲しい。

一口目はそのままの塩味。
野性味溢れる食感とほとばしる肉汁の美味しさを堪能しよう。

二口目はすりおろしたニンニクを乗せる。

一口目の脂の強さが消し飛び、ハラミの旨味がダイレクトに響く。

三口目は生姜醤油。

驚くほどハラミにマッチし、あっさりと食べることが出来る。

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小池克臣

こいけ・かつおみ●1976年、神奈川県横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程、加工、熟成まで踏み込んだ研究を続ける肉の求道者。著書に『No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 肉バカ。』がある。
公式ブログ「No Meat, No Life.」→ http://d.hatena.ne.jp/BMS12/

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