2022.8.24
カフェイン抜きと雑草とのにらみ合い
猛暑であっても、私の体に関してはクーラーで解決できるようになったが、できないのが庭の雑草である。ついこの間、早朝、三十分だけと決めて雑草を取り、防犯用の砂利がすべて見えている状態だったのに、一週間後にはもうそこここに生えてきていた。雑草取りは好きだけれど、あまりに頻繁になると、正直うんざりする。おまけにこの猛暑である。雨の日はできないし、天気がいいと炎天下での熱中症が怖い。猛暑だから放っておいたら、少しは枯れるのではと期待したけれど、雑草たちはますます元気になって、緑を濃くしている。どうしてこんな短期間にこんなに生長するのか、そのパワーが不思議でならない。雑草魂はすごすぎるのである。雑草という植物はないと、植物好きの人はそういうし、私もそうだと思っている。緑は嫌いじゃないので、たくさんあったほうがうれしいのだけれど、私担当の小さな庭には大家さんが植えた木があるので、それに影響を及ぼされるのは問題なのだ。
塀を隔てた隣家の庭には、茎が徐々に太くなっていった、雑草のような木のような、植物には無知な私には判断しかねる植物が何本も生えている。そのうちの一本は二階建ての屋根を越す高さまで伸びている。うちに近い塀際の一本も生長著しい。引っ越してきたときは、それほど大きくなく、冬になると大きな葉が枯れて落ちてきた。もちろん落葉掃きのときは、それもきれいに掃除していた。
それが春先から、あれよあれよという間に大きくなり、塀を乗り越えてこちらのほうまで、一メートル以上も枝葉を伸ばしてくるようになった。主茎は茶色っぽいが、そこから出ている茎や、裏から見た葉の太い葉脈が赤いので、いったいどういう植物なのかと、インターネットで検索してみたが、これといった決定的な決め手がない。
また、その植物の茎に、茎の色が赤い、蔓を伸ばしてからみついてきた雑草がいる。小さな花を見ると、子どものときに、野原でよく見た記憶はあるが、名前は知らない。こちらも異常といいたいくらい生長が早い。赤い茎の植物というのは、どことなく不気味だし、そのまま生長を続けると、こちらの窓をふさぐ可能性も出てきた。そして地面には抜かなくてはならない雑草も日々、生長している。猛暑のなか、私と雑草とのにらみ合いは続いているのである。
次回は9月28日(水)公開予定です。お楽しみに!
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