よみタイ

カフェイン抜きと雑草とのにらみ合い

 猛暑であっても、私の体に関してはクーラーで解決できるようになったが、できないのが庭の雑草である。ついこの間、早朝、三十分だけと決めて雑草を取り、防犯用の砂利がすべて見えている状態だったのに、一週間後にはもうそこここに生えてきていた。雑草取りは好きだけれど、あまりに頻繁になると、正直うんざりする。おまけにこの猛暑である。雨の日はできないし、天気がいいと炎天下での熱中症が怖い。猛暑だから放っておいたら、少しは枯れるのではと期待したけれど、雑草たちはますます元気になって、緑を濃くしている。どうしてこんな短期間にこんなに生長するのか、そのパワーが不思議でならない。雑草魂はすごすぎるのである。雑草という植物はないと、植物好きの人はそういうし、私もそうだと思っている。緑は嫌いじゃないので、たくさんあったほうがうれしいのだけれど、私担当の小さな庭には大家さんが植えた木があるので、それに影響を及ぼされるのは問題なのだ。
 塀を隔てた隣家の庭には、茎が徐々に太くなっていった、雑草のような木のような、植物には無知な私には判断しかねる植物が何本も生えている。そのうちの一本は二階建ての屋根を越す高さまで伸びている。うちに近い塀際の一本も生長著しい。引っ越してきたときは、それほど大きくなく、冬になると大きな葉が枯れて落ちてきた。もちろん落葉掃きのときは、それもきれいに掃除していた。
 それが春先から、あれよあれよという間に大きくなり、塀を乗り越えてこちらのほうまで、一メートル以上も枝葉を伸ばしてくるようになった。主茎は茶色っぽいが、そこから出ている茎や、裏から見た葉の太い葉脈が赤いので、いったいどういう植物なのかと、インターネットで検索してみたが、これといった決定的な決め手がない。
 また、その植物の茎に、茎の色が赤い、つるを伸ばしてからみついてきた雑草がいる。小さな花を見ると、子どものときに、野原でよく見た記憶はあるが、名前は知らない。こちらも異常といいたいくらい生長が早い。赤い茎の植物というのは、どことなく不気味だし、そのまま生長を続けると、こちらの窓をふさぐ可能性も出てきた。そして地面には抜かなくてはならない雑草も日々、生長している。猛暑のなか、私と雑草とのにらみ合いは続いているのである。

次回は9月28日(水)公開予定です。お楽しみに!

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群ようこ

むれ・ようこ●1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。広告会社などを経て、78年「本の雑誌社」入社。84年にエッセイ『午前零時の玄米パン』で作家としてデビューし、同年に専業作家となる。小説に『無印結婚物語』などの<無印>シリーズ、『散歩するネコ れんげ荘物語』『おネコさま御一行 れんげ荘物語』などの<れんげ荘>シリーズ、『今日もお疲れさま パンとスープとネコ日和』などの<パンとスープとネコ日和>シリーズの他、『かもめ食堂』『また明日』、エッセイに『ゆるい生活』『欲と収納』『よれよれ肉体百科』『還暦着物日記』『この先には、何がある?』『じじばばのるつぼ』『きものが着たい』『たべる生活』『これで暮らす』『小福ときどき災難』『今日は、これをしました』『スマホになじんでおりません』、評伝に『贅沢貧乏のマリア』『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』など著書多数。

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