よみタイ

新しいパソコンを接続する

 本来はISPを見たら、ぱっと気がつけばいいのに、それができなかったくせに、ぶつぶつと文句をいいながらも、私は自力で接続できたことに満足した。パソコンのシステムを理解しているわけではなく、あっちこっちをいじくりまわしていたら、うまくいったわけだが、過程はどうでもよく、結果に満足すればいいのである。
 毎回、だらだらと長ったらしいユーザー名、パスワードを入力しつつも、無事にパソコンは使えていたのだが、使用中の音があまりに大きくなりすぎ、断末魔の叫びというか、爆発するのではと心配になるほどの音量になってきたので、メールやゲラが届く可能性が低い週末にかけて、新しいパソコンに替える作業をはじめた。
 有線LANのケーブルを接続しても、インターネットにはつながらない。やっぱり世の中、そんなに甘いものじゃなかったと思いつつ、必死になって、ブロードバンド接続のセットアップをしていったら、なんとちゃんと接続できたではないか。
「私、えらい!!」
 おまけにさすがに最新型はより賢くなっているのか、もちろんパスワードは入力しないと画面は開かないが、以前のようにISPからのユーザー名やパスワードを入力しなくても、すぐにブロードバンドに接続してくれるようになった。
「ありがたいことだ」
 ここ何年かの悩みが吹き飛んでいった。
 昔はパソコンに対して、インターネットで何かを調べようと思っても、項目にはたどりつくのだけれど、そこに書いてあることがまったくわからず、結局は何も解決しない場合が多かった。パソコンにはガイドブックも添付されてはいたが、理系のわからない事柄を、文系の人がかみくだいて書いてくれているわけではなく、文章がまどろっこしくてわかりにくくて本当に困った。

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群ようこ

むれ・ようこ●1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。広告会社などを経て、78年「本の雑誌社」入社。84年にエッセイ『午前零時の玄米パン』で作家としてデビューし、同年に専業作家となる。小説に『無印結婚物語』などの<無印>シリーズ、『しあわせの輪 れんげ荘物語』などの<れんげ荘>シリーズ、『今日もお疲れさま パンとスープとネコ日和』などの<パンとスープとネコ日和>シリーズの他、『かもめ食堂』『また明日』、エッセイに『ゆるい生活』『欲と収納』『還暦着物日記』『この先には、何がある?』『じじばばのるつぼ』『きものが着たい』『たべる生活』『小福ときどき災難』『今日は、これをしました』『スマホになじんでおりません』『たりる生活』『老いとお金』『こんな感じで書いてます』『捨てたい人捨てたくない人』『老いてお茶を習う』『六十路通過道中』、評伝に『贅沢貧乏のマリア』『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』など著書多数。

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