よみタイ

群ようこ「今日は、これをしました」
物を減らす、無駄なことはしない、必要以上に買わない。
「しない。」生活のなかだからこそ、手に入れるもの、するべきことは
試行錯誤を繰り返し、日々吟味している群ようこ氏。
そんな著者の「しました、食べました、読みました、聴きました、着ました」
など、日常で「したこと」をめぐるエッセイです。


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録画したテレビ番組を観る

今日は、これをしました 第11回

 ふだん一日にテレビを観る時間は、最長で二時間程度である。夜の十時には寝てしまうので、私がテレビを観る時間帯以外に放送されている番組は、録画しておいて、後日、まとめて観る。録画リストの中からそのときの気分で選ぶのだが、翌日、観るものもあるし、なかには観たいと思いつつ、何か月、ひどいときには何年も放置してあるものもある。
「水曜日のダウンタウン」は必ず録画する。この番組は優秀な番組を顕彰するギャラクシー賞の奨励賞を受賞したり、BPO(放送倫理・番組向上機構)で審議入りしたりと、幅の広さがいい。たとえば二〇一五年に受賞した「徳川慶喜を生で見た事がある人 まだギリこの世にいる説」は、彼が一九一三年に没したので、見た可能性がある、百歳超えのご長寿さんを探さなくてはならないし、いたとしても会話が成り立つ状態の人でないとまずい。調査の結果、可能性のある人たちが何人かいて、その説が立証されるかどうかも楽しみだったのだが、それ以上に画面に登場したご長寿さんたちが、男性も女性もみな若々しくお洒落、かつ品がいいのにびっくりしたのである。
 昔は百歳を超える人はほとんどいなかったし、いたとしても、ふつうに会話が成り立つ人は少なかった。ただそこに生きて存在していることに価値があった。しかし現代の百歳を超えた方々は、といっても一部の人たちかもしれないけれど、とても実年齢には見えず、二十歳は若い印象だった。実際、見た人がいたのにも驚いたが、それよりも元気な百歳超えの方々を見て、そのとってつけた風でもない、身だしなみのよさを、見習わなくてはいけないなと、いろいろと勉強になった。
 二〇一七年受賞の「先生のモノマネ、プロがやったら死ぬほど子供にウケる説」もとても楽しかった。癖のある先生の動画を参考に、プロの物真似の人たちが、一般の人の真似は難しいと苦労しながら、完璧に先生の物真似をした。それを見た生徒たちが、涙を流して笑っているのを見て、やはりプロはすごいものだと感心した。彼らの芸能人の物真似は、テレビで相手を何度か見ているし、なじみがある。しかしその学校の先生を見るのは、はじめてなのに、それが見ていて面白いというのは、よほどの力量がないとできない。真似された先生のほうは、「えっ」と怪訝けげんな表情だったのも面白かった。

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群ようこ

むれ・ようこ●1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。広告会社などを経て、78年「本の雑誌社」入社。84年にエッセイ『午前零時の玄米パン』で作家としてデビューし、同年に専業作家となる。小説に『無印結婚物語』などの<無印>シリーズ、『散歩するネコ れんげ荘物語』『おたがいさま れんげ荘物語』などの<れんげ荘>シリーズ、『今日もお疲れさま パンとスープとネコ日和』などの<パンとスープとネコ日和>シリーズの他、『かもめ食堂』『また明日』、エッセイに『ゆるい生活』『欲と収納』『よれよれ肉体百科』『還暦着物日記』『この先には、何がある?』『じじばばのるつぼ』『きものが着たい』『たべる生活』『これで暮らす』、評伝に『贅沢貧乏のマリア』『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』など著書多数。

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