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新しいパソコンを接続する

 しかし最近は、ちょっとインターネットで調べると、丁寧に対策が書いてある。それも微に入り細をうがって説明してあるので、私のような人間にもとてもわかりやすい。以前から、そのような役に立ちそうなページをプリントアウトしていたのが、困ったときにとても役に立った。
 結局、私は最初から丸投げで、設定サービスを頼まなくてよかったと思った。少しでも自分がわからないことを、まずは調べてやってみることで、脳は活性化するのではないか。楽ばかりしていたら、脳は働かない。パソコンをインターネットに接続するという、シンプルな作業でさえ、いろいろと勉強になった。詳しい人にとっては何でもない事柄でも、何も知らない人間にとっては大事なのだ。困難、不便は頭を使わせてくれる。こういう生活を続けていれば、これからもぼけなくて済むかもしれないと、希望が持てたのである。
 などとのんきに書いていたら、昨日、インターネットにつながらなくなった。前期高齢者の人生は多難である。朝、問題なく接続ができたのに、トイレから戻ってきたら接続が切れていた。それから夜まで、接続を試みたが、まったくつながらず。NTTに連絡してみたがNTT製機器までの信号は確認できているとのことだった。実際、それが何を示しているのかは、正直、私はわからなかったのだが、先方のせいではないというのは理解した。結局、その日はあらゆる手を尽くしても接続できず、がっくりしてそのまま寝た。
 今朝、これまでためていた、困ったとき対策のプリントアウトした書類を見ていたら、つながらないときの裏技があるという。はじめて知った方法である。それを試してみたら、何とすぐにつながったではないか。
「この人、えらい!」
 教えてくれた人を褒め称えながら、今のところ問題なく使えている。これでちょっとだけ、接続できないときの知恵が増えた。こんな具合で細々とインターネットを使っていきたいと思ったのだった。

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群ようこ

むれ・ようこ●1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。広告会社などを経て、78年「本の雑誌社」入社。84年にエッセイ『午前零時の玄米パン』で作家としてデビューし、同年に専業作家となる。小説に『無印結婚物語』などの<無印>シリーズ、『しあわせの輪 れんげ荘物語』などの<れんげ荘>シリーズ、『今日もお疲れさま パンとスープとネコ日和』などの<パンとスープとネコ日和>シリーズの他、『かもめ食堂』『また明日』、エッセイに『ゆるい生活』『欲と収納』『還暦着物日記』『この先には、何がある?』『じじばばのるつぼ』『きものが着たい』『たべる生活』『小福ときどき災難』『今日は、これをしました』『スマホになじんでおりません』『たりる生活』『老いとお金』『こんな感じで書いてます』『捨てたい人捨てたくない人』『老いてお茶を習う』、評伝に『贅沢貧乏のマリア』『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』など著書多数。

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