2026.10.16
韓国フードのブームもBTSきっかけ!? 「推しと同じものを食べたい」気持ちは世界共通 【韓国トレンドの裏事情vol.5 前編】
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激辛のプルダック炒め麺が一大ブームに
激辛インスタント麺のプルダック炒め麺も、SNSで激辛麺に挑戦する「Fire Noodle Challenge」動画が拡散されたことによって、世界的なヒット商品になりました。発売当初の2014年頃は海外のYouTuberによって拡散され、2020年代に入ると、BTSのジミンがオンラインライブ中などにプルダック炒め麺を食べる動画が人気を集め、TikTokを中心にブームが再燃しました。
2024年には、かねてから「BTSの中でジミンがいちばん好き」と公言していたアメリカのラッパー、カーディ・Bもこのチャレンジに挑戦。当時、アメリカで売り切れが続出していたカルボナーラ・プルダック炒め麺を「車を30分走らせてやっと手に入れた」と明かし、牛乳やチーズでアレンジして食べる動画をTikTokに投稿して、大きな反響を巻き起こしました。
インスタント麺が売れると、「このソースを別の料理に使ってみたい」といろいろなアイデアが生まれます。SNSを通じて、「この商品を使って自分はこんな料理を作った」というレシピがどんどん広がっていくのです。プルダック炒め麺の味をベースに開発された、ボトル入りのソースが発売されていますが、アメリカの若者の間ではこのソースを持ち歩き、いろいろな料理につけて食べる楽しみ方も流行しています。
コチュジャンなどの調味料の名前も浸透しました。以前は、「コリアン・チリビーン・ペースト」や「レッド・チリ・ペースト」などと呼ばれていましたが、今ではテレビの料理番組や雑誌の料理レシピでも「Gochujang(コチュジャン)」という韓国語がそのまま使われるほど有名なソースになりました。ホールフーズ・マーケットやウォルマートなどのスーパーでも取り扱われています。
アメリカでは健康志向とのマッチングも人気の秘密
フライドチキンやインスタント麺といったファストフードが人気を集める一方で、「韓国料理にはヘルシーなものが多い」というイメージも広がっています。
その背景の一つが、発酵食品への関心です。特にキムチは、アメリカでも健康的な発酵食品として知られるようになりました。2013年には、当時の大統領夫人ミシェル・オバマがホワイトハウスの庭で育てた白菜でキムチを作り、レシピを紹介して話題に。2021年にはハリウッド女優のグウィネス・パルトローも新型コロナ回復期の食生活について紹介した際、砂糖を使わないキムチを取り入れたことを明かしています。
また、ヘルシーな韓国料理の代表格の一つが、やわらかな豆腐を使ったスンドゥブチゲです。ロサンゼルスでは1980年代から専門店が登場し、長く親しまれてきました。
実はアメリカでは、ニューヨークよりもロサンゼルスなど西海岸に韓国系住民が多く、本格的な韓国料理店も多くあります。ニューヨークでは韓国企業やブランドがアメリカ市場を目指して進出するケースが目立つ一方、ロサンゼルスでは、昔からある韓国料理店がK-POPファンなどによって再発見されています。
トレーダー・ジョーズの冷凍キンパが大ヒット
最近は、ヘルシーな韓国料理を手軽に楽しめる商品もかなり多くなりました。その流行に一役買ったのが、自社ブランド商品をリーズナブルな価格で販売することで知られる、アメリカの大手スーパー、トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)です。
2023年、トレーダー・ジョーズは自社ブランド商品として、電子レンジで温めて食べる冷凍キンパを新発売しました。肉の代わりに豆腐を使ったベジタリアン向けの商品でありながら、単なる野菜海苔巻きではなく、きちんと韓国らしい味がある。これがSNSでも大きな話題となり、入荷と同時に売り切れる大ヒット商品になったのです。
冷凍キンパの大ヒットに続き、肉の入っていない冷凍チャプチェも登場しました。サツマイモの春雨に、ホウレン草やニンジン、ピーマンやキノコなどの具がたっぷりのっています。さらに、冷蔵タイプのビビンククスも「Korean Style Bibim-Guksu」という商品名で発売されました。そうめんにキムチやキャベツ、キュウリ、ニンジンなどを合わせ、コチュジャンベースのドレッシングで仕上げた商品で、パスタサラダのような感覚で食べられます。
野菜をベースにした料理なら、ヘルシーな食事として取り入れやすく、ダイエット中でも罪悪感がありません。ベジタリアン、ビーガン、発酵といったKフードのキーワードが今の時代に合っているのでしょう。
辛い料理を食べて汗をかくことで、サウナに入ったような爽快感を楽しむ人もいます。韓国の辛さといえば、これまでキムチのような少し酸味のある発酵食品の辛さをイメージする人が多かったのですが、プルダック炒め麺のブームなどを通して、甘みのある辛さも韓国料理の魅力として知られるようになりました。最近では、トッポッキなどの商品も増えています。子どもも大好きな甘辛い味つけや後をひくおいしさが人気のポイントです。
「イカゲーム」とのコラボも
これまでご紹介したのは、自然発生的なKフードのブームが中心ですが、韓国企業が意図的にマーケティングを行った商品もあります。
韓国食品ブランド「bibigo」の冷凍餃子は、コストコやターゲットといった米大手スーパーの冷凍食品コーナーに普通に並ぶ定番商品となりました。2024年12月には、アメリカ各地でNetflix『イカゲーム』の招待状をモチーフにしたキャンペーンも展開。看板やカードに電話番号の一部を隠して掲載し、消費者が番号を完成させて電話をかけると、bibigoの商品が当たるという仕掛けです。
辛ラーメンで知られる農心も、アメリカで積極的にマーケティングを展開しています。2024年にはロサンゼルスのコリアタウンに「House of Shin Ramyun」というポップアップストアをオープン。辛ラーメンを実際に味わい、商品やブランドの世界観を楽しめる体験型の空間を作りました。ニューヨークでも、漢江公園をイメージした空間で辛ラーメンを味わえるイベントを開催するなど、単に商品を売るだけでなく、韓国の食文化そのものを体験してもらう取り組みが増えています。
こうしたスーパーマーケットで購入できる商品のブームとは別に、アメリカでは韓国人シェフによるファインダイニングが今、「予約困難な店」として人気を集めています。後編でくわしくご紹介していきましょう。
後編(10月17日12時半公開予定)へ続く
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