2026.9.11
カニより出でてカニよりカニカニしいカニカマ
水産加工品の出世頭は、明太子とカニカマでしょう。。
明太子は、〔ふくや〕の創業者・川原俊夫氏が製法を公開したことで、1960年代に多くの製造者が参入しました。その後の新幹線開通もあって、博多土産としてまずはブレイクしたそうです。ただしその時点では、あくまで珍味。どちらかというと好事家のための特殊な食べ物でした。しかしその後着実にポピュラリティを獲得し、1980年代以降は、スーパーにも普通に置かれるようになりました。その後、ライバルというか兄弟というか、たらこを人気の上で逆転していった様子は、一明太子好きとして肌で感じてきました。
明太子はパスタソースやスナック菓子などの加工食品原料という形でも家庭に入り込んできています。2007年には、加工用の出荷額がお土産用を上回ったのだとか。皆さんの中にも、明太子を使った自作レパートリーのある方は、きっとたくさんいるのではないでしょうか。僕は「しらたき明太バター」が好きです。よく考えたらこれも、元はたらこを使う料理だったはずです。
カニカマは1972年に石川県七尾市の水産加工メーカー〔スギヨ〕が開発しました。そしてそこからの進化がすごいですね。どんどん本物のカニに近づき、もちろんそれに伴って販売数も伸びていきました。現在では、ほぼカニと同じであると謳い、カニ酢までついている商品もあります。
個人的にカニカマに関しては、ちょっとした不満もあります。それはおいしすぎるということです。おいしいのはいいことですが、おいしすぎると逆にマズく感じられることもある。もちろん感じ方は人それぞれでしょうが、僕にとってはカニカマがまさにそれなのです。形状や食感がこれほどまでにリアルになったのだから、もうちょっとおいしさを控えめにしてくれたらよりリアルなカニに近づき、そうなれば僕はもっと頻繁に購入するし、しかも一度にたくさん食べるでしょう。
これに関してはある時、開発者への取材を目にしたことがありました。現代のカニカマは、本物のカニのうま味成分を化学的に解析して、それを元に味が作られるそうです。凄いテクノロジーですね。ところが、あくまでその開発者氏の言葉を借りるなら「そのまま再現するだけではイマイチおいしくない」のだとか。だから、そのさまざまなうま味成分を全てブーストして、「本物よりおいしく」作り上げているのだそうです。僕はそれを聞いた瞬間、やはりそうだったのかと納得するとともに、余計なことを!とも思ってしまいました。皆さんはどう感じられるでしょうか?
これはなかなか哲学的な話であり、また技術というよりは思想の話なのかもしれません。カニカマの話に限らず、日本のメーカーは「普通ではダメだ。普通よりわかりやすく優れていなければいけない」という思想が極端に強いように感じるのです。そしてそのことは、当然ながら良くも悪くも、家庭料理にも大きな影響を与えていそうです。

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次回は9/25(金)公開予定です。
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