2023.9.1
シンデレラ型と白雪姫型の埋まらない感覚格差 第15回 コスプレ慣れした世代のプリンセス像

第15回 コスプレ慣れした世代のプリンセス像
小さな女の子達が、ハロウィンやディズニーランドへ行った時にしがちな、プリンセスの扮装。昨今は、七五三や誕生日の時なども、女の子がプリンセス的な衣装をつけてフォトスタジオで写真を撮るといった慣習も見受けられます。
そんな姿を見ると、
「我々は、プリンセスに憧れ損ねた世代なのかもしれない」
と思うのでした。自分が子供の頃、「プリンセスの格好がしたい」などという発想はまるでなかったなぁ、と。
ディズニー映画におけるプリンセスの肌の色が問題視されたり、また王子様と結婚したからといって必ず幸せになるわけではないことがわかってしまったりと、プリンセスを巡る状況は、必ずしもキラキラしているばかりではありません。しかし我が国の親御さんの中には、「女の子はみんな、プリンセスに憧れるよね〜」とばかりに、娘にプリンセスの扮装をさせたがる人もいる。SNS映えする画像を撮るために着せたい、という気持ちもそこにはあるのでしょう。
SNSの中には、自分の子供を「うちの姫」「うちの王子」と呼ぶ親御さんもいます。「豚児」などと呼んでいた時代は遠くなりにけり、なのです。
東京ディズニーランドは一九八三年に開園していますから、小さい娘を持つ親御さんは、自身も子供の頃からディズニーランドに行っていたことでしょう。親子二代で、物心ついた時からディズニーのパレードで生のシンデレラや白雪姫を眺めていたならば、「プリンセスになってみたい」「プリンセスの格好をさせたい」という気持ちにもなりましょうや。
自分の幼少期を振り返れば、ディズニーランドはまだ千葉の地に誕生しておらず、シンデレラや白雪姫は、物語の中の人。憧れる対象ではありませんでした。我々にとってプリンセスといったら、西洋の姫よりも、かぐや姫やらつる姫(『つる姫じゃ〜っ!』というギャグ漫画が昭和時代に人気だった)といった、和風の姫の方が親しみ深かったかも。
コスプレというレジャーも、日本には普及していませんでした。我が人生における姫経験といえば、幼稚園のおゆうぎ会で、かぐや姫役に抜擢された時のみ。さちこちゃんとのダブルキャストだったものの、あの頃が人生の頂点だったものじゃ……。